キミを追いかけた夏

笠原美雨

第1話ボルダリングサークル始めました

「入ってしまった」

 4月。新しく入った大学のボルダリングサークルの部室に、つい入ってしまった。ビラが配ってあって、つい。ボルダリングなんて、聞いただけで内容も分からないのに。いや、ルールは分かる。なんかカラフルなとってを使って、自分の身体で登っていく。私はそのくらいの知識でボルダリングサークルに……、

「いらっしゃい! ボルダリングに経験ある?」

 6畳くらいの部屋には、本棚とテレビやパソコンが置いてあった。あまりパソコンは使ってなさそうだけど。意外なことにボルダリングに関する本よりマンガの方が多い。

「聞いたことはありますが、やったことがなくて」

「今講義があるから皆いないけど、17時くらいから近くのボルダリングジムでボルダリングするよ。見てみない? そのあとは自由にラーメン食べに行ったりするよ」

「ラーメン、いいですね」

 大学生なので、サークル後にラーメンは気になる。同じ学部の人いるかな?

「俺は部長の吉田。キミは?」

「私は新入生の須田未来です。よろしくお願いいたします」

「未来ちゃんね、よろしく」

 そうして吉田さんはテレビでゲームを再開した。待っていろという意味かと思い、本棚からマンガを取り出し読むことにする。

 ボルダリングサークル1日目、まだボルダリングは始まりません。

 

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