短歌で短話集

篝火

見える景色

いつも通るその道を進み続ける早朝のひととき。


「怠いなー、マジ怠いー」

一人ぶつくさ呟きながら、いつもと変わらない景色を眺めて目的地までひたすら進む。


「アレ?こんなところに、新しく店が出来たのか?」

いつもの道にいつもと違う場所が出来た。

それは、小さな本屋だった。

その本屋の前で立ち止まり、いつ変わったのかお店を眺めながら記憶を探る。

だが、いくら記憶を探ろうとソコは駄菓子屋だった記憶しかない……。


「また、変わったのか……。」

昔から慣れ親しんだその道が、形を変えていき、面影が消え行く様を寂しい気持ちで眺めているしか出来ない、もどかしさをそっと心に募らせる。



                (完)

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