ボクはキミに騙さるなら本望だよ!

神石水亞宮類

第1話 ボクはキミに騙されるなら本望だよ!




“ボクはキミに騙されるなら本望だよ!”



ごめんね、ボクは何もかも知っていたんだ。

キミがボクを騙して、お金を手に入れたい事を、、、。

最初っからボクは何もかも知っていた!

キミがボクと出会う前から、ボクはキミの事を知っていた事を。




・・・それは本当に“偶然だった!”

何気に通りかかったお店でボクはキミを見つけ、一目惚れする。

ガラス越しだからキミはボクの存在に気づいていない、ボクだけがキミを

見つけたんだ!



その後、キミがそのお店を辞めて、仕事を転々としていた事を知った。

キミは男運が悪いのか? 悪い男に、いいように使われていた事も......。

キミと付き合っていた男は、“キミにこう言ったと思う!”

【俺の為に、ある男からお金を騙し取ってほしい】と、、、。

それがボクだった!

ボクは初めてキミと会うフリをして、まんまとキミに騙されたフリをする。




『あのね、ワタシのお母さんが病気でさ、病院に連れて行きたいんだけど?

健康保険とかないし、お金も全額負担だから払えないんだよね!

だからさ、ごめんなんだけど、お金貸してほしいの!』

『・・・そ、そっか、それで“幾らいるの?”』

『・・・100万円なんだけど、大丈夫かな?』

『いいよ! 貸してあげるよ。』

『えぇ!? ホント!?』

『あぁ! “そのお金は返してくれるんだよね?”』

『勿論! ちゃんと後から返すわ! ありがとう。』

『うん。』




・・・彼女はボクとの約束を破り、次にこう言った!



『あのさ、凄く言いにくいんだけど、、、? 今度はお父さんが

脳梗塞で右半分が動かないというか? 後遺症でさ、凄く不自由なの、

だからお父さんの為に車椅子買ってあげたくて、でもそんなお金ワタシ

にはなくて、まだ100万円返してないのにこんな事言うのはおかし

いと思うんだけど、もう100万円貸してくれないかな?』

『そっか、分かった! “ボクはキミにお金を貸すよ。”』

『あ、ありがとう。』

『別にいいよ。』







そもそも、何故? 彼女の好きな相手がボクを選んだのか?

そこから話していこうと思う!

ボクの父親はかなりのお金持ちでね!

某有名会社の取締役会長をしている、ボクがその会社の社長だ!

ボクがお金を持っている事を、そいつは知っていたんだ。

ボクが彼女に渡したお金は全て、その男に渡している事も知っている。

彼女はボクを騙そうと思ってそうしている訳じゃない事も、、、。

そもそも、“彼女は自分の意思ではないんだ!”

悪い男に引っかかって、今はこういう風にさせられているだけ。

ボクはキミが目を覚ますまで、今の関係をやめないよ。

ボクから取れるだけのお金を取ればいい!

そのお金は、必ずボクが奪い返すから。

キミからではなく、“ロクでもない、そいつからね!”




『・・・ご、ごめん、今度はさ。』

『ううん、お兄ちゃんが事故でも遭ったか?』

『えぇ!?』

『“お金、幾らいるの?”』

『・・・な、なんで、それを、』

『“キミがボクを騙している事は知っているよ。”』

『分かってて、ワタシにお金を貸してくれるの?』

『“あぁ、キミがそう望むなら!”』

『・・・・・・』

『どうした? 幾らいるか言わないの?』

『・・・も、もういい! 要らない、お金はワタシが全額返すから!』

『“ボクはキミから貸したお金を回収する気はない! キミをそそのかす

その男からボクは回収すると決めているんだ!”』

『・・・な、なんで! 何もかも分かってて、ワタシに騙されてたの?』

『あぁ、そうだよ! 悪い?』

『“ワタシの事バカにしてたの? それとも哀れな女だと思った?”』

『“どっちでもないよ。 ボクはキミと出会う前からキミの事を知っていた!

ボクの一目惚れだったんだけどね? でもさ、これも縁でしょ! 早くキミに

は目を覚ましてほしいかったんだ!』

『・・・・・・』

『“キミはその男に操られてるだけだよ。”』

『・・・う、嘘よ! そんなの信じられない!』

『今は信じられないかもしれない、でもよく考えて? キミの好きなその男は

キミに今、何をさせてるんだ? キミがボクから借りたお金は全てその男に、

渡してるんだろう?』

『・・・ううん。』

『そいつはキミの事を愛しちゃいないよ。“本当にキミを心から愛しているの

はボクだ!”』

『えぇ!?』

『少し、頭を冷やした方がいい!』

『・・・ううん、』

『キミはとっても物わかりのいい子だ! ボクがキミを守るよ!』

『ううん。』




・・・“彼女はその男の魔法から冷めたみたいに、その男とはもう

会わないとボクに誓う!”



ボクの協力の元、“彼女はその男の呪縛から解き放たれたんだ!”

そして今度はボクがキミに魔法をかける。



『何処か行きたいところある?』

『・・・あぁ、あのお店に行きたい? ワタシが昔働いてたお店。

アナタがワタシを最初に見つけてくれたお店。』

『・・・ううん、行こう!』

『うん!』

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ボクはキミに騙さるなら本望だよ! 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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