よくある異世界転移
@keysky
第1話
俺は昔から異世界転移というものにあこがれていた。20歳半ばを過ぎ、今では立派な社畜として働いているが、中学生時代から続いてる異世界転生物の創作物をあさる趣味は健在である。
もし自分が異世界に転移したらという妄想はとどまることはなく何十、何百と繰り返してきた。現実がつらければつらいほど頭の中で異世界に転移した俺は生き生きと活躍をしていた。
だからか、俺の目の前に突然美女が現れて「あなたは死にました」と言われてもそこまで驚かなかった。
「私は女神シヱテンです。あなたは本来まだ死ぬはずではありませんでしたが、私たちの手違いにより死んでしまいました。」
俺は「今時珍しいほどのテンプレだ」と思いながら女神の話を聞く。
「こちら側の不手際で亡くなってしまったので、元の世界で生き返っていただくことが道理です。しかし、もしあなたが望むのでしたら、あなたたちがおっしゃるような異世界転移をしていただくことも可能です。」
俺は内心小躍りをしながら、興奮気味に異世界に行かせてほしいといった。
「わかりました。もし異世界転移するようになれば、もはや二度と元の世界に戻ることはありませんがよろしいですね?」
俺は食い気味にそれでいいと言い、俺が行く世界はどのような世界であるのか尋ねた。
「申し訳ありませんが、どのような世界に行くかは私にもわかりません。というのも、世界というものは自然発生的に無限に存在していて、私にはどこか特定の世界に送ることができないのです。」
俺は少し違和感を感じたが、そういうこともあるだろうと納得し、どのような世界に行くかわからずに急に不安になってきた。
「心配することはありません。私は異世界転生に必要な力、いわゆる<<スキル>>をあなたに授けます。その中にはあなたがいる世界がどのような世界であるのかを教えてくれる<<スキル>>もあります。」
俺は鑑定のスキルがあるのかと思いつつ、ほかにはどのような<<スキル>>があるのか尋ねた。
「あなたが心配している事はわかります。あなたは無事に生活できるのか、そしていわゆるチートと呼ばれる能力があるのかどうかであると思います。安心してください。私はあなたが異世界転移を全力で楽しめるように様々な能力を差し上げます。自動翻訳のスキルや、病気にならないスキルもあげましょう。さらにチートスキルとして、時間停止スキルと未来予知スキルも差し上げます。それ以外にも様々な、あなたが異世界転生するのに必要な<<スキル>>を差し上げます。ですが、今はもう時間がありませんので申し訳ありませんが、残りは転生した後に確認をしてください。」
そう言い終わらないうちに、視界が徐々に白く染まり始めた。どうやらテンプレ通り全部を説明してはくれないらしい。
「どうかあなたのこれからの異世界での生活が、多くの人の笑顔と喜びに満ち溢れたものとなるよう願っています。」
こうして俺の異世界転生ライフ、いや異世界放浪が始まってしまった。
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