俺の理想の社畜生活
AIDA・F
読み切り
「今日もこの書類頼むわ~。じゃ、お疲れ」
「あ、うっす。お疲れ様です」
(何でもかんでも押し付けてんじゃねえぞ、くそ上司)
俺はブラックな会社で働く冴えないサラリーマン。この会社に就職してからずっと残業続き。休日出勤なんて当たり前。転職してもいいと思ったが俺にはこの会社を続ける理由がある。
それは社宅の隣にあるコンビニに行き、あの人に会うこと。
押し付けられた書類をパパッと片付け、急ぎ足でコンビニに向かった。
「いらっしゃいませ~。今日もお疲れ様です」
「そちらもこんな時間までお疲れ様です。いや~最近寒いですねえ」
「そうですね、私の弟も風邪を引いちゃって。そちらも気を付けてくださいね」
「はい!気を付けます」
そう、この女性にあうために俺は毎日を生きている。互いに名前を知らないが、通い続けて1年、すっかり常連になった。
(今日はのり弁でいいか)
「これと、いつものやつでお願いします」
「は~い。17番ですね。いつもありがとうございます。でもちゃんとしたものも食べたほうがいいですよ」
「朝ごはんはちゃんと作ってるんで」
そんなたわいのない話をするのも毎日の楽しみだ。お金を払いお釣りを貰う。
(もうすぐ来る、毎日一番のビッグイベントが!早く来い! )
「お釣り274円になります」
そう彼女がお釣りとレシートを渡そうとした瞬間、その掌が触れた。その瞬間、彼女は顔を赤くして照れるように、
「すすす、すみません」
(かっ可愛いぃぃぃ!)
「だ、大丈夫ですよ?グフッ」
顔をずらし、少し咳き込む。これだ、この照れ顔を見るために俺は毎日を生きている。彼女は掌が触れるのが恥ずかしいらしく、いつも気を付けているっぽい。まあ、そんな努力もむなしく触れてしまうのだが。
「そ、それではまた。ありがとうございました~」
「では」
(こちらこそありがとうございます!今日もいい一日だったな~)
そんなこんなで毎日を生きていくサラリーマンのお話。
俺の理想の社畜生活 AIDA・F @hayamelove
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます