別れの日に

@cancanyomumu

別れの日に

昨晩から降る雨のせいで、3月にしては気温の低い日となった。

体育館の床で冷やされた足の指を、靴下の中でグーパーさせながら寒さを凌ぐ。


本来なら、他の生徒と一緒に壇上で繰り返される挨拶をぼんやりと眺め、ただ拍手を繰り返しやり過ごす時間となるはずだった。


今、壇上には花束を抱えた先生の周りを数人の生徒が囲っている。部活動つながりの関係だろうか、3、4人の生徒が順々に握手をして別れを惜しんでいた。


ルーティンのような一連のやりとりが終わると、気ぞろな拍手をBGMに、この学校離れる先生はステージの奥に下がり、残る生徒たちは壇上を立ち去る。


あと3人ー

挨拶が1人終わるたびに、ポケットに入れた手紙が重くなっていくようだ。

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