第1章 第1話

死神とは。

死に間際の人間の魂を刈り取る存在である。死を迎える予定の人間の魂を刈り取って、天国または地獄へ導く役割をしている。

大半の死神は幽霊のように元は生きていた人間が死んだ後に姿を変えた存在。

この少女・あかりも元は人間だった。





『木暮陽葵(こぐれひなた) 17歳 心臓病 石田町3丁目杉浦総合病院 天国行き』


(17歳か、、、まだ若いのに可哀想だな)


スマホに一件のメールが入った。

これはエンマ大王からの仕事の連絡。

私たち死神はメールで届いた人物の魂を刈り取り、命を絶っているのだ。

死んだ人間の名前、年齢、死因、天国行きか地獄行きか、、、など。

そして指定の場所に行って魂を刈り取る。

このメールは、エンマ大王の側近である、アレン様が送っている。

ちなみに、アレン様、すごく怖い、、、。

少しでも仕事に遅れると、合理的だの効率的だのと、お説教の電話がかかってくる。

私は人間界で働いているから気が休まるけど、アレン様の手伝いさんは気の毒だ、、。



私は早速、指定の場所へと向かった。


着いたのは、なんとなく寂しげな雰囲気に包まれた病院だ。

その四階の一番西側の病室が「木暮さん」の病室。

静かな病室にただひとり、ベッドに眠る人がいた。

窓からはオレンジ色の西日がさしている。

ふとベットを覗き込むと、木暮さんと思われる男の人がすやすやと寝息をたてて寝て、無防備に寝ていた。

17才とは思えない、大人っぽい顔立ち。

一度も日に焼けたことのないような真っ白な肌。

伏せられた長いまつ毛。

筋の通った高い鼻。

病室の窓からさぁっと抜けた風が彼の頬をなでた。


(かっこいい、、、。なつかしい、、ような?)


気がついたらこの人から目が離せなくなっていた。

こんなに整った顔なのに無防備に寝ている姿が可愛らしい。

そう思うと、この人を殺すのが急に心苦しくなってきた。

(まあでも仕方ない!かっこよかろうが可愛いかろうが、死ぬ運命は変わらないんだから)

いつも通り魂を刈り取ろうと、木暮さんの首にカマを近づけた。

刃が、白い首筋に触れたその時――――――


(あれ、、、。)


わからない、、、。

わからないのだけど、確かに感じたのだ。


――この人、まだ生きられる、、、!―――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る