第12話 宣戦王女
「俺と一緒に居れば、魔王軍に狙われ続ける事になる」
元気のない王子は、首を傾ける王女に暗い未来を語る。
王子の闘気は魔族を復活させてしまうので、魔族からしたら喉から手が出るほど欲しい能力だろう。
「俺の力のせいで、きっと迷惑をかけてしまう」
これから結婚する王女に迷惑をかけてしまうと、苦悩する王子に対して、王女は力強く微笑んで宣言する。
「魔王軍をぶっ飛ばすです!」
「えぇ……?」
これは王女が内心で決めていた事だが、王子はこの事を知らないので、安心させてあげる為にも声に出して宣言した。
それを聞いた王子は唖然としているが、障害があるならぶっ飛ばす、当然の事だ。
魔王軍をぶっ飛ばすために、色々知っていそうな情報源と、お片付け上手な頼れる親友を連れてきているので、後は実行するだけだ。
これで王子も安心して結婚できるはず、予定通りにお嫁さんにしてもらうのだ!
「結婚の障害をぶっ飛ばすです!」
「魔王軍がお邪魔虫扱いだ……!」
あんまりな王女の物言いに、勇者は戦慄している。
『全部話すから、暴力反対だゾ!』
自分がぶっ飛ばされないで、捕らわれの身になった理由を悟った博士は、魔王軍の事についてペラペラとしゃべり始める。
『北の沼地にある城が本拠地で、残り三人の四天王が控えてるゾ!』
「潔い保身デス」
王女の力を研究していたので、王女の力は王女自身よりも分かっていて、それを自分に向けられるのを恐れたのだ。
その話をカゴの下から聞く、銀色ミリアは素早い保身へ感心している。
「北の沼地へ、魔王軍をぶっ飛ばしに行くです!」
『沼地は底なし沼になっていて、通るための橋を作る虹の縦笛が必要だゾ』
「底なし沼……。 私に良い考えがあるです!」
敵地へ直行しようとする王女へ、博士から事前の申し出があるが、銀色ミリアを見て閃いた王女は、そのまま行動開始する。
「えぇ……?あ、待ってくれ!」
王女の宣言に唖然としていた王子は取り残されそうになるが、走り出した二人と銀色ミリアに担がれた鳥籠を追って駆けだした。
「底なし沼なら、沈む前に駆け抜ければ良いです!」
北の沼地に到達した二人と鳥籠の中の一人は、力技な作戦を聞いて驚いている。
『待ちたまえ! 本当に底なし沼なんだゾ!?』
「沈む前に駆け抜けるデス!」
制止する博士の声もむなしく、王女が二人を抱えて走り出すのに追随する銀色ミリアは止まらない。
当然博士も銀色ミリアの手荷物として頭上に掲げられているので、その作戦に強制参加だ。
金銀のミリアが大荷物を抱えて、底なし沼の上を駆け抜ける!
しばらく駆けていると行く先に、どうやって建てたのかお城が見えてきた。
暗い色で尖塔がたくさんある城は幻みたいに建っている。
「あのお城です?」
『あっあっ! 止まらないでくれ! 沈むゾ!』
「大丈夫デス」
緩そうな泥の足場の上で立ち止まって博士に聞く二人に、焦った博士が警告するが二人は金色の足場に立っているから大丈夫だ。
闘気を足場にしているのだ!
金色の足場に気が付いた博士は、安心して城の方を見て頷く。
「あれが魔王軍の本拠地、魔王城だゾ!」
ぶっ飛ばすべき敵はもうすぐだ!
――あとがき――
次回から魔王城に進軍です!
ここまで読んで貰えて、とても嬉しいです。
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