第12話 インビジブルシークレット①

まえがき

 先日から1週間程連続投稿を予定しています。メインで投稿している『獣化転生』とこの作品の略称『凡人少女』の二つを交互に投稿するつもりです。


―――――――――――――――――


 6月4日。YuYuから連絡が来て、楽曲の歌詞が出来上がったとのこと。幸い今日は日曜なので昼から作業を開始することになった。


 ノートパソコンの電源を入れ、DiscoderでYuYuとの通話を始めた。


「久しぶり。YuYu」


 リアルでは会っていないものの、初めて会話してから一月経っている。こうして共同作業をするのはこれが初めてである。


「久しぶりだねAmane。」


 実は、ボイスチャットはしていないけどメッセージで話していたりはする。それである程度仲良くなったものでお互いにさん付けはなくなっている。久しぶりに聞いたYuYuの声はやはりというべきか可愛らしいものだった。


「それで、歌詞が完成したのでAmaneにひとまず聞いてほしいです」


「分かったよ。YuYu」


 パソコンに届いたファイルから楽曲の歌詞を開く。そこには楽曲のタイトルも一緒に載せられていた。




インビジブルシークレット / Amane , YuYu


「夢の消えた毎日を繰り返していたって意味などないよ。」と

悲しいこと言うね

君だってそう

「非現実を愛してます。」

なんて文字では言うけど

口では何も言えないのにね


顔も声も見えない人と繋がってる

「なにか」を感じてる

それはきっと偶然じゃないけど

そうやって今日もまた一日が終わるけど

君は死んだようなフリをして

して そしてまた生きる


「ああ、信じられない。」と目を背けてみても

捨てることが出来ないくせに

ねぇ、そんなことを認めもしない割りに

今日もまた厭らしい顔で画面の奥の私を見てるよ?


それが最善策じゃないことをきっと君は知ってる

隠れた暗い毎日に溺れてるのは苦しいよね

秘密じゃない現実が何なのか解らないのなら一緒に

影が造りだした世界で消えるのはどうかな?




「とりあえず一番だけで何だけど……どうかな?」


 歌詞とタイトルを見た感じ。私のことをある程度調べてるよね。だって、私が日常的に思っていることとか、YuYuへ向けてる感情を読みとってるからね。私、話した覚えないのに知ってるように見えていて、心の底を見透かされている感じがして不気味だよ?


 でも、その分私ができないような本心からの歌がここにあるんじゃないかと思う。それに表現もしっかりしてて、かっこいい!


「この歌詞いいよ! 私頑張るから音源デモ出来上がったら、聞かせて感想を聞きたい!」 


「そうかな……、褒めてくれてありがとう……。それと楽しみにしてるね。Amaneの音を」


 YuYuは本当にいい仕事をしました。ここからは私の出番。YuYuの歌詞を台無しにしない似合った音を創って見せる!


「あ、Amane。そこの音はちょっと激し過ぎかな。そこはもう少し落ち着いてサビで盛り上げたいの」


「あっ、はい」


 どうやら完成まではまだまだ時間がかかるようです。


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