第2話 船長との出会い
このところ一日中、海を見てばっかりだ。早く島に行きたい。島が見つかったとしても、船長が「また危ない目に遭ったらいけない」とか言って島に行かせてくれないかもしれないけど…。そんなことにならなきゃいいな。
「ねえミナライ。ミナライはどうして船長と一緒に行くことになったの?」
キノコの柄みたいな体で、ロウソクみたいに大きな炎の頭をしているヘンテコなヤツがそろそろと近寄ってきた。この種族の名前はなんだっけ…キャノヤーだったかな。
「え?ごめん、ぼうっとしてた。もう一回!」
「ミナライはさ、どうして船長と一緒に旅をするようになったのかなって。」
うわ、イヤな話するなあ。いつもなら話さないけど、このキャノヤーはジブンと同い年くらいに思えるから話してあげたくなる。
「気になる?」
「うん、聞いてこいって!」
「え、誰が?」
「あっ、なんでもない!お話しして!」
「わかったよ。えっとね…。」
うーん、やっぱりそういう感じか。もう慣れっこだけど、がっかりだな。どうしてかみんな、その話ばかり聞きたがるんだから。
・ ・ ・
「ニンゲン…?ニンゲンか。おーい、起きろ!」
なんだ?うるさいな…。
うとうとと顔を上げたら、よくわからないのがいた。ヨロイを着ていて…いや、ヨロイそのものが動いてるような…?
ヨロイの顔には、人が入るくらいの穴がぽっかりと開いていた。中身が入ってないのか?じゃあなんで剣を握ったり喋ったりできるんだろう。
「だれ?」
「ああ、いきなり話しかけてすまない。一人で倒れていたものでな、気になったんだ。」
「一人」で?いや、それよりも…!
「聞こえてるの?」
「なにがだ?」
「ジブンの声だよ。」
「もちろんだ。ほら、耳があるだろう?」
そいつは、かたそうなヨロイをひねって頭の横を見せてきた。いや、耳なんてないな…。
「俺が誰か、だったな。俺はヨロイのモンスター。ニンゲンにはヨロイノボウレイ、なんて呼ばれているぞ!」
「モッ…!?」
モンスター!?まずいやばい、逃げなくちゃ!
…あれ?おかしいな。モンスターは悪いヤツだから、今ごろやられてるはずなのに。
いきなり攻撃してこないあたり、悪いことをしようとはしてないのか?それはそれで訳わかんないけど…。
それに、こっちを人間だとわかった上で話しかけてきてるし。
変なモンスターだ。動くと時々、カンカンって変な音がするし。ヨロイノボウレイ、だっけ。
そういえば図鑑で見たことがある。ヨロイノボウレイと言えば、古い建物のまわりをうろついてるモンスターだ。ここはけっこう新しい村なのに、どうしてここに?
「なんでここにいるの?」
「大きな音がしたからな。向かってみたらここに着いたんだ。」
こうは言ってるけど、モンスターがほんとうのことを言ってるとは限らない。どうなんだろう、話をしていいのはいつまでかな。
「ところでオマエは、どうしてこんな所に寝転がっているんだ?」
「え?」
『こんなところ』だなんて!ここはれっきとした村なのに。
「あれ?」
村がない。
ちゃんと後ろ向いた?うん、向いてる。じゃあ、ここはどこなんだ?さっきまで村にいたから、村の近くのはずなのに。
「どうしたんだ?オマエにもわからないのか?」
「え?えっと…。」
ほんとうなら、モンスターとは目を合わせるのすらダメなんだけどもう話しちゃってるからな。さっき転んじゃったから、走って逃げるのも難しいし…どうにか乗り切るしかない。
でも、いきなり嘘なんて思いつかない。ほんとうのことをテキトーに伝えたらいいかな?
とはいえ、村は今ここにないからどう言えば良いんだろう。さっきまでここに村があって…なんて、信じるはずがない。
コイツが「デタラメを言って、俺のことを馬鹿にしている」ってひとたび怒ればどうしようもないもんな。
「えっと、まあいろいろあってね。」
「そうだったのか!仲間はいないのか?」
「い____いや、いない!」
危ない危ない!いる、なんて言ったら一目見ようと着いてくるかもしれない。そのせいでモンスターと知り合ったことがバレたら、仲間はずれにされる…!
「そうか…。ならどうだ、ニンゲン。俺の夢に付き合わないか?」
「夢?」
「ああ。船に乗って世界を廻る!それだけだ。」
「そうなんだ…。」
なんだか、モンスターらしくない夢だ。このモンスターと同じことを言ってる子が、村にもいたくらいだし。
ただの世界一周とはちょっと違って、あの子は自分が勇者になって魔王を倒すっていう伝説みたいな旅を夢見てたけれど。このモンスターも、伝説にあこがれてるのかな?
…いいや、そんな訳ないか。モンスターは勇者に倒される生き物なんだから。人間にとっての伝説は、モンスター側には悪い話として伝わってるだろうし。
なら、このモンスターはなんで世界一周の旅なんかしたいんだろう?
「どうして旅をしたいの?」
「長年、想ってきた夢だからだ。」
「きっかけはなんだったの?」
「さあな、もう覚えていない。」
「ええ…?」
理由を聞き出せないのは困るな…。このモンスターがどんなヤツなのかがわからない。
悪い感じはしないけど、それが勘違いだったら大変だ。さっさと追い払った方が良いかも。
コイツを追い払うためには、少し演技をしないといけない。自分のことは名前で呼んでたけど、隠さなきゃ…そのまま「ジブン」って呼べば良いかな?
「あの、ジブンね…元いた村に帰りたいの。だからその村を探したくって。でもまずは、探す前にここで待ってみようと思ってて。」
「こんな荒野でか?食べ物はあるのか?寝床は?」
「無いけど…!」
モンスターに着いていくよりかはマシなの!とは言えなかった。それで怒って攻撃されたらたまったものじゃない!
あ、そうだ…近くの港町に行こう。誰か泊めてくれるかもしれない。
「____なら、俺と一緒に来た方が安全だろう。近くの港町で船を貸してもらっているんだ。その船なら食べ物を貯め込めるし、寝床もあるぞ!」
「えっ…?」
「うん?どうした?」
「い、いや、ええと…。」
このモンスター、港町で船を貸してもらってるだって!?うーん、それはまずい!
このまま港町に行けば、モンスターといっしょにいる所を人に見られてしまう。そうなれば、港町にいられなくなって行くアテがなくなってしまう。
…というか、どうしてモンスターなんかが船を借りられたんだ?
「船はどうやって借りたの?」
「「貸してくれないか」と頼んだんだ。そうしたらすぐに貸してくれたぞ。」
ええ…?そんなことが有り得るのかな?確かめようがないけど、それでも良く考えないといけない。
港町の人は泊めてくれるかわからないけど、このモンスターに着いていけば絶対に泊まれるのか…。
だからって、モンスターに着いていくなんて絶対にイヤだ。でもそっちの方が良さそうなんだよな…。
港町だとジブンは「よその子」だけど、コイツは仲間にしたいと思っているみたいだもの。
港町だと、なんで自分の家で寝られなくなったのかを…つまり村が無くなったことを話さなきゃいけない。
信じてくれるだろうか?自分ですらまだ信じられないのに…。信じてくれたとして、「じゃあなんでこの子だけ取り残されたんだ」って疑われたらどうしようもない。
どっちを選ぼうかな…?
「その船はしっかりしてるの?」
「もちろんだ。元はニンゲンの物だからな!」
しっかりしてるってことは、ボロ船を押しつけられた訳じゃないのか。
なおさらおかしいな。ほんとうは船を奪い取ったんじゃないだろうか?わからないけど。
やっぱり、こんなわからないことだらけのモンスターに着いていくのは怖い。
どれだけ良いところを探してみても、相手はモンスターだ。どうしても、それを考えずにはいられない。
このモンスターがロクでもない理由で旅をしたいんだったら…もしくは、船を奪い取ったんなら悪者だ。
そんなのに着いていったら、ジブンまで悪者だと思われちゃう。でも港町に行っても結局は疑われて、似たようなことになるかもしれないしな…もっと、話を聞き出してから決めないと。
「ねえ、なんで旅に出たいのかほんとうに覚えてないの?」
「そんなに知りたいのか?オマエにとっては関係ないことだと思うが。」
「う、うん。知りたい。」
「うーむ、そうだな…。」
怪しんでるのがバレたかとひやひやしたけど、あまり気にしないでくれた。よかった…。
「やっと自由になれたから、余計に。といった風だろうか?」
「なにそれ…?」
よくわからないことを言われてもな…。ほんとうにそれが答えなんだろうか?コイツも何かを誤魔化そうとしてるんだろうか?
「まあ、単純に海への憧れがあったというだけかもしれん。これだけ広い世界を見て回らず、ひとところに居続けるのが惜しくなったんだ。」
「お出かけしたくなったってこと?」
「そんなところだな。」
お外に遊びに行きたくなるのはジブンも同じだ。コイツとジブンは似てるのかも。それに、世界中を見て回るのか…良いなあ。
____これ以上は聞き出せないかな?
あんまり聞いてばかりでも怪しんでるのがバレちゃいそうだし…聞かないなら聞かないで、このモンスターの悪いところを知らないまま仲間になっちゃうかも。
それでも、ジブンは海での生活の仕方を知ってる。
お腹が空いたとき、のどが渇いたとき。迷ってしまったときも、どうすればいいのか知っている。波が変わったときだって、上手に泳げるはず。村の大人にたくさん教えてもらったもの。
だから、危なくなったらこのモンスターの船から飛び降りて逃げたら良い。そのあとは、人がいそうなところに行って助けてもらえって教えられた。でも、あんまり陸から離れたところに船を出されたとしたらどうしようもないな…。
「その旅って、人がいるところにも行くの?」
「ん?ううむ、俺としてはニンゲンに近づきたくはないが…オマエはその方が良いのか?」
「うん、それが良い。」
「そうか。なら、俺がモンスターだとバレない限りは町に連れて行ってもいいぞ。変身魔法でも使うとするか…。」
あれ?思ったよりこっちのことを考えてくれるみたいだ。どうしよう。着いていってみようか?
このモンスターに着いていった方が良いことがありそうだし…。
頼れるのがこいつか港町かのどっちかしかないからやむなくって感じだけど、決めるのに大きな勇気が必要だ。
港町に住んだとしたら、村を探しに何回も外に出て行ってたら怪しまれるだろう。
住まわせて貰うからには色々と手伝わなきゃいけないだろうけど、村探しでそれどころじゃないし…手伝いができない理由として「村が急に消えた」なんて、やっぱり信じる訳が無い。
言ってみても良いけど、「その通りなのか見に行ってみよう」なんて言われて…連れていってみて本当に村が無くなってるのを見たら、それはそれで不気味がられる気がする。
さっきも思った通り、「じゃあなんでこの子だけ残ってるんだ?」って。もしかしたらジブンが悪者だと思われるかもしれない。このモンスターといっしょくたにされちゃあたまったものじゃない。
…そうか、コイツのさそいを断ったとしてもお互いに行く先は港町じゃないか。コイツ、港町で船を直してるって言ってたもの。
だったら何度も話しかけられるかもな…こいつと知り合いってことを隠そうったっていつかは無理が来るだろう。バレないように、って気をつかいながら生活するのは疲れるからイヤだ。
でも、コイツに着いていったら船でふたりだけの生活になるからそんなに疲れないだろう。
あんまり話しかけられないように離れてたら怖くないだろうし、別の大陸に行くために練り歩かなくても良いし、モンスターなら風の魔法でどんな時でも船を出せる。
船があるなら、離れたところにも行ける。どこまででも村を探しに行ける。
無理やり引っ張っていったら「わがままなヤツだ」ってキラわれちゃうかもしれないけど、このモンスターも世界中を旅したいみたいだし、村探しに付き合わせるのにちょうどいい。
村がここに帰ってくるのを待つんじゃなくて、探しに行った方が見つかりやすい気がする。港町にいたんじゃ、それはできない。
もしも旅の中でモンスターといるところを人に見られたら、ジブンは悪い子だと思われるけど…バレないようにコソコソする方法を思いつけば大丈夫だと思う。コイツも人にバレないようにするの、協力してくれるようなことを言ってたし。
寝床にも困らないみたいだから、一人で生きていくよりかはずっと楽だ。このモンスターが何を食べるのか知らないけど、ジブンはサカナを釣るのが得意だしどうにかなる。
サカナばっかり食べることにはなっちゃうけど…港町にいると、そもそも少ししか分けてもらえないかもしれない。それよりかは良いんじゃないかな。
そもそも、村がまだこの世界にあるのかどうか怪しいけど。
ほんとうに村が消えたなんて、さすがに有り得ない…はずだ。人間にも魔法を使える人はいるけど、そんなことする意味がないし。強いモンスターも、伝説の時代に消えちゃったらしいし。
そんなことできるヤツなんてこの世にいないんだから、あんなにきれいさっぱり消し去ることなんかできっこない。たまたま、どこかに飛んでいっちゃっただけに違いない。絶対、今も世界のどこかにあるんだ。
「どこか」じゃなくて、村がここに戻ってきたとしてもいい。「世界一周」の旅をするんならいつかはここに戻ってくるんだから、その時に帰ればいい。
それだけ長い旅にはなるけど…このモンスター、ヨロイだし剣を持ってるし、たぶん強いと思う。悪いヤツがいたって、怖くて近寄らないだろう。世界をすみずみまで見て回るには、コイツといた方が良い。
そうだ、もしかしたら伝説の旅っぽいこともできるかもしれない。今まではずっと、サカナを釣ったり物を運ぶばかりで、あんまり船に乗せてもらえなかったから楽しいかも。やっぱり、悪いことはあまり起こらなさそうだ。
それでも、モンスターと一緒にいるところを港町の人に見られたら、まわりまわって村の人に伝わっちゃうかもしれない。それはダメだ。港にある船が何隻か出たら、こっちもすぐに海に出なきゃ。
「わかった。連れてって!」
「やったぞ!そうだニンゲン、名はなんという?」
「ああ、えっと____」
名前を言いかけて、あわててやめる。モンスターに名前を呼ばれるのはイヤだし、知らないヤツに名前を教えちゃいけない。
「好きな名前で呼んでいいよ。」
「いいのか?ニンゲンはみんな、それぞれ名前があるのだろう?」
「うん…。でも今は、新しい名前になっても大丈夫だよ。」
「本物か?故郷に帰ってから困るのではないか?」
妙に気にかけてくるな…本音がバレそうで怖い。
「故郷に帰ってからはちゃんと元の名前に戻すから平気。旅をしてる時だけ、別の人になりきれば良いだけだもん。そういうの、一回やってみたかったからちょうど良かったよ。」
「なるほどな…ではオマエは、俺____船長のミナライだ。」
「ミナライね。わかったよ、よろしく。…えーと?」
「俺のことは船長と呼んでくれ!」
「うん。よろしく、船長!」
「よろしくな。ところで、ミナライはどうしてこんな所に一人でいるんだ?」
ぎくりと体がはねる。ええい、話がまとまったと思ったのに!
「…。ここ、ついさっきまで村があったんだけど、どこかに行っちゃったみたいでさ。ジブンは、外に遊びに走ってたところをなんでか取り残されちゃったんだ。お父さんもお母さんもも友達も家も、ぜんぶいなくなっちゃった。だからここにいるの。」
ほんとうのことをどうにか、かいつまんで話す。船に乗せてもらうことになるとはいえ、すべて話すのは怖かった。
「ふむ?不思議なものだな。」
「うん…。ジブンもよくわかってない。」
「ともかく、ミナライはここにいる。それは変わらないだろう?」
「…そうだね。旅はできるよ。」
「ようし、俺は船長。ミナライと共に船旅に出かけるぞ!」
「おー!」
なんとか誤魔化しきれて、安心する。こいつも、ゴテゴテしたヨロイのわりには楽しいモンスターだ。自然とかけ声が出るくらいに。
・ ・ ・
「…それで、そのまま着いていったんだって!」
「……はあ!?それだけか?なんか隠せって言われたんじゃないだろうな。」
「言われてないよ。」
「いや、さすがに何か隠してるだろ…ニンゲンの、それもガキがモンスターと生活するなんて有り得ねえ。」
「どうせ船長の野郎が根回ししてんだろ。いつまでたってもラチがあかねえよ。さっさと出ていこうぜ。」
「お出かけ?船長に言ってくるね!」
「ああ、よせよせ!ちょっと風に当たってくるだけだから!」
「そっか。行ってらっしゃい!」
・ ・ ・
…あ、船員が部屋から出てきた。あれ?三匹だけだ。四匹くらいの話し声が聞こえてきたはずなんだけど。
「あ、いた。」
「ミナライ!どうしたの?」
「ん?ううん…。」
実はさっきから、海を見ているふりをしながら四匹の話を聞いていた。このキャノヤーは、あの三匹にジブンと船長が出会った時の話を聞き出すよう頼まれたみたいだった。
今朝、キャノヤーから「話を聞いてこいって言われた」なんて聞いてしまったからには、後ろにああいう船員がいるんじゃないかと疑うしかなかった。そのカンは当たってたらしい。
でも、あの三匹はジブンの話を信じてないみたいだったな…。わざわざ回りくどいやり方で聞き出しておいてまで知りたかったはずなのに、なんで信じないんだろう?
キャノヤーにジブンから話を聞き出すよう頼んだのだって、「自分たちが聞いても話さないから、こいつに任せた方がほんとうの話を引き出せる」って思ったからそうしたはずなのに。
それでもって、「さっさと出ていこうぜ」というのは…この船から出ていくってことだろうか?
きっとそうだろう。
前にもこういうことがあったけど、止めても誰も聞いてくれなかった。どうしてみんな、出ていきたがるんだろう。
船長はジブンに隠れて、船員に何かしてるのかな?じゃないと、船員がこんなに出ていきたがる訳がない。
でも、何かってなんだ?仲間にするために無理やり引きずり込んだとか?
それは無いか。人間のジブンを仲間にするより、同じモンスターを仲間にする方が簡単に決まってるもの。
船長の最初の仲間がジブンなんだし、トントン拍子で増えていくと思ってたんだけどな。
船員が増えるところまでは上手くいってたっぽいけど、最近はなんだか変だ。
「さっきの船員たち、出て行くのかな。」
「どうだろうね。」
アイツらがいなくなるのかどうか、まだ確かではない。今回は引き止めない方がいいのかな。うん、やめておこう。止めても聞いてくれないだろうから。
それに、また船長を悪く言われたら少しはイヤな気分になってくるし。
船長の…あのモンスターのことはずっと怖い。でも、ジブンをまだここに置いてくれてるんだから優しいんじゃないかな?
モンスターにそんなこと思うの良くないってわかってるけど、船長がいなかったら今のジブンはいないし。
その船長のためなら、船員を引き留めた方が恩返しになるのかな?だけど、あの船員たちに口答えしたらジブンのことまで悪く言ってくるだろうし…やめておくのがいいや。
ああもう、イヤなことばっかりでめんどくさい。早く家に帰りたいな。
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