お歌詞

ふじかわ さつき

はじまり

どうしてもそうならないように避けてきたのに

いつの間にかそいつは後ろにいる

気付かないうちに後ろにいる

気付いた時には遥か遠く

もう手の届かないところへ


だんだん数字が減っていって

そろそろお前とは離れなきゃ

そう思った時には大きな音が鳴って

お前の名前が呼ばれるんだ

でもその名前には聞き覚えが無くって

あれは誰だったんだと思っていたら

気付いた時には自分から逃げてた


どうしてもそれは避けては通れないらしい

気付けばそいつは目の前にいて

いつの間にかあんたはあたしを待っていて

気付いた時には通り過ぎて

またあんたを追いかける羽目に


だんだん私も歳を重ねて

そろそろあんたには会えないな

そう思った時にはいい大人になってて

あたしの名前が呼ばれるんだ

でもその名前には聞き覚えが無くって

あれから何年経ったんだと考えてたら

気付いた時には口づけしてた


目の前には開いていない扉があって

自分の力で開けられるなんて

あの時は全く思っていなかったんだよ

いつまでも開くのを待ってたあたしは

今になってバカだと気付く

その扉の名前は昔置き去りにしてきた聞き覚えのあるあいつの名前


だんだんこの生活にも慣れてきて

そろそろあんたに会えそうな予感

そう思いながら隣には子供がいて

あたしの名前が呼ばれるんだ

でもその名前にはなかなか慣れなくって

あれからあなたは元気でしょうか

絵本の表紙をめくってはあなたの名前を呼んでいます


「はじまりはじまり。」


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