銃戦少女

柏陽シャル

第1話 ロボ戦

 「紫柏しはくー!もう7時よー!」

母に起こされ、ベットから降りる。

今日も学校か……憂鬱だった、面白くもない授業を聞いて嫌いな奴等と同じ空間に居て学校に行くのがいつの間にか嫌になっていた。

 私は机に並べられた食パンを食いながらスマホ片手にニュースを見ていた。

「これは…」

あるニュースを見て私は唖然としていた。

それは、隣街でロボ達が暴走しているというニュースだった。どうやら、警察が応戦しているらしいが…映像を見る限りかなりの数だ。警察の銃でロボに傷を与えられるのだろうか。


 「お母さん、行ってくるね」

「行ってらっしゃい」

母に手を振りながら私は学校に向かった。



 「紫柏しはく、おっはー」

「…おはよう」

クラスメイトに挨拶をされた為、返すとクラスメイトは直ぐ別の者に挨拶をしに行っていた。

「ただ、挨拶しに来ただけか…」

 私は荷物を机に入れて席に座る。ホームルームまで時間あるから、少し本でも読んでおくか。


 「お前ら、ホームルーム始めるから席につけよー」

『はーい』

先生の一言で騒ぎ建てていた者達は席に座り始めた。

「お前ら、今日のニュース見たか?」

「ニュース?」

「あ、あれじゃね?なんか隣街でロボットが暴走みたいな」

「あーあれか、見た見た」

どうやら、生徒や先生もニュースを見ていたようだ。

相変わらずだが、世の中では沢山のロボや化け物が暴れている。早く政府に対処してもらいたい所だが、政府はきっとそんな事はしないだろう。

「ま、お前らも気を付けろよ」

軽そうに先生は言い、1時間目が始まろうとした途端…

ガチャ、ガタン!

銃が当たった音のようなものが聞こえた。

「な、何だ!?」

「何々?怖いんだけど…」

騒ぎ出す生徒達と、しんとしている廊下。

私は持っていたスマホを見ると画面には新しいニュースが入っていた。

「ここにも、ロボが…?」

そう、なんと隣街のロボが此方こちらまで来ていたのだ。警察だけでは止められなかったか…となるとあの音は……


 「やあやあ、ごめんネ〜驚かせちゃったカナ?」

声の方を向くと毛先がタコのゲソのようになっている女性が此方こちらを見ていた。

「あの人何ー?」

「やばくね?」

「タコみたいなんだけどー」

女性を見てさらに騒めく生徒、先生は何者ですかと女性に聞いていた。

「私は紫柏しはくちゃんに用があってね」

その女性が私の名を呼ぶと先生は私をその女性の近くまで来るよう伝えてきた。

 「おひさしぶりですね、ノイさん」

「イヒヒヒ、久しぶりだね紫柏しはくちゃん」

彼女はノイ・ル・フェンネス。病気やらなんやらで自分の体を改造しタコと合体させた狂人だ。

「それで、一体何なんですか?」

「スマホを見てたってことは…知ってると思うけど、この街にまでどうやらロボが来てるっぽくてネ」

「それで、呼びに来たんですか」

「YES。学校なのにごめんネ」

「いえ逆に良かったですこれで欠席する理由が出来たので」

欠席をしたいというのは本心だ。勉強を楽しいとは思うがつまらない授業を聞く気はない、その為か私はノイさんが呼びに来たのを嬉しく思えた。



 私とノイさんは階段を降りながら話をしていた。

「いやはや、これで紫柏しはくちゃんが処理隊のCTB組織に入ってることがバレてしまったネ」

「別にバレた所でなんとも思いませんよ…」

「そうかい?イヒヒ、それは良かったヨ」

CTB組織、それはロボや研究によって生まれた化け物や反社を処理する組織だ。まあ時には普通の一般依頼も受けるが…

そして、その組織を作ったのは元軍人の比島桜瀬ひじまおうせ、私達の上司だ。言わば会社で言う社長のような立場の人だ。

 「そういえば、武器持ってないんですが…」

「武器は下に置いてあるヨ、それと君の部隊も待機してるヨ」

「てことは…兄も呼んだんですか?」

「勿論、あっちは私達の事とか知ってるからネ。気にしなくても良いと思うヨ」

「そうですか…なら急いで向かいますのでノイさんも自分の部隊と合流してください」

「OKんじゃよろしく頼むヨ」

ノイさんは私にそう言い走っていった。


 「Oh!来ましタネ!」

「さっきノイさんが凄い速さで車に乗ってったんだけど…あれは何なの?」

「遅いぞー早く行かないと間に合わなくなるぞ」

私が所属している部隊のメインメンバーのジョンさん、あおいさん、兄の功次こうじがそこで待っていた。

私は急いで用意された武器を手に取りながらあおいさんが運転の車に乗った。


 「それで、場所は何処なんですか?」

「聞いた話だと近くの商店街で出たらしいわ、急がないとロボが暴れて商店街が荒れるわ」

「その商店街って俺等が何時も行っているアニメイトがある場所じゃないよな?」

「ザンネンながらその商店街らしいデスヨ?」

「よし、あおい。飛ばせ」

兄がお気に入りの近くの商店街だと分かった途端、顔色が代わりあおいさんの背もたれに手を置き真剣な顔で言っていた。

「お兄ちゃん?落ち着こう、ゆっくり深呼吸だ…ひっひっふーだよ」

「それは出産のやつね?」

そんな他愛も無い会話をしていると車が止まった。

「着いたよ」

「では、行きましょうか。ミナサン戦闘態勢について下サイ!」

「「「了解!」」」

現場に着いた私達は隊長のジョンさんの言葉に続いて車を降りた。


ダダダダダダダダダ!!!!

カキンカキン!

鳴り響く銃声の中、それを跳ね返したロボットの音が商店街には響いていた。

「ニュースで見た時より居るんだけど…」

「あーそれはネ、増援を呼ばれちゃってネ」

ノイさんが後ろから声をかけてくる。

増援?自我を持っているのか?

「多分だけど、どっかに黒幕が居ると思うんだよネー憶測だけどこの近くに犯人は居ると思うんだ」

「犯人って…これが事故では無く意図的に起こったことだと?」

「そうだネ。あ、それと探索なら今は姐さんと月ちゃんがやってくれてるから私達は殲滅に専念しようカ」

我々、CTB組織の者から姐さんと呼ばれるのは葉上紅知はがみこうちさん研究者だ。彼女は回復薬などを造ったりしている潜入なら彼女が適任だろう。

月ちゃんとは、花瀬月はなせつきというCTB組織内最年少の子だ。桜瀬おうせさんの養子でもある。それと何故か私は彼女から避けられている…嫌われているというのだろうか。


 「このロボット堅いんデスガ!?」

前線に居る刀を持った外国人、ジョンさんがロボ相手に斬りにかかるとカキン!と跳ね返されていた。

「クソっ!銃も全部跳ね返されちまうぞ!」

レッド9を持った兄が愚痴を吐いていた。

銃も刀も効かないなんて…そんな事あるの?そう思いながら自分の持ち武器であるG11をロボに撃つと全て跳ね返ってきた。チートかよ…今までこんな事なかったのに…………

「ライフルも効かないわ、何なの彼奴あいつ…」

葵さんのライフルも効かないとなってしまったらもう……

「どうしようかな…」

そう言いながら兄を見ると

「美味いな」

まるでさっき愚痴を放っていたのが嘘だったかの様に蜜柑みかんを食っていた。妹だが、言おう何だ此奴は

「何で蜜柑みかん食ってるの…今はそんな状況じゃ無いんだよ!?」

「ビタミンCの欠乏けつぼうは筋力の低下があるからなあ〜」

兄はそう言っていた。ふざけるな!そう思っているとジョンさんが兄の近くに寄って…

「貰っても?」

「うい」

兄はジョンさんの手の上に蜜柑みかんを乗せた。何個あんだよ…もう嫌この人。


 「蜜柑みかんタイムは終わりにして、この状況どうすんのよ?」

「うーん……」

考えるんだ、どうしたら攻撃が通るんだ?いや、待てよ…ノイさんの攻撃は通ってるのか?

私はノイさんの部隊の方を見ると

「イヒヒヒヒヒヒヒ!!爆発こそ力!芸術!」

其処には狂ったノイさんがグレネードランチャーをロボに向かって撃っている様子だった。そのロボを見ると攻撃を食らっているのか怯んでいた。

「爆発………うーむ?」

「何を見てるんだ?」

後ろから肩に手を乗せてきた兄は私が見ているものが気になっている様だった。

「えーとノイさんの部隊はロボを対処出来てるのかなって……」

「ほお、んで結果は?」

「怯んでたから攻撃は通じるみたい、それとノイさんの攻撃ぐらいしか通じて無さそう」

「ほーん…てことは爆発かそれとも一撃一撃の火力不足かだな」

兄は私の意見から推測をして考えていた。

「…………あっ、良い事思い付いた」

「?」

兄は私達に集まるよう命令をした。

「何?何か思い付いたの?」

「ああ」

「どうするのデスカ?」

「ひとまずは手榴弾をあるだけ持って来い!」

「「は?」」

「どういうコトデスカ?」

兄の一言で私達はあるだけ手榴弾を持って来る事になった。

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