第54話 見つけた
「シャマシュの言うとおり。それで昔から住んでた人達に『亜人たちは危険な集団』というレッテルを張られて、ますます対立になってしまうとかいろいろと問題が起こっているのよ」
「根深い問題なんですよね」
簡単に解決できる問題じゃないのはわかってるけど、こういう所から事件が起きて言事が多い。今回の騒動だって、それが絡んでいる場合もある。
色々可能性を考えないといけないわ。
それからしばらく色々歩いて、さすがに疲れちゃった。夜もあるしここまででいいか。
一度宮殿に帰って、食事をしてから元の場所に戻る。
夜、もう一度スラム街に戻った。ロザリアと合流して3人。人気は少なくなりまばら。入り組んだ道と時折家を捨てた人がいるのか、だれも住んでない廃墟の家。この道が、大通りからあの商店へと向かっている一番の店。ここを通過する可能性が一番ある。
人目が届かない場所が多く、隠れて取引をしたり違法行為をするにはうってつけの場所だというのがわかる。
「ここよ」
「ありがとう」
実際、道に迷いかけてしまった。日が暮れると、全く違う道に見える感じがするわ。目の前にいる廃墟の物陰から、おばあさんの商店に視線を置く。店じまいしていて商品はないが、おばあさんはいる。
きょろきょろと周囲を見ていて、誰かが来るのを待っているのがわかる。
時折誰かが叫んだり、人を殴っているような音が聞こえる。治安が最悪なこの場所。誰かが喧嘩をしているのだろうか。今は構ってる暇はない。
そして、息を殺して獲物を待ち続けること1時間ほど。
ザッザッという足音がこっちに向かってきた。3人で顔を合わせて、察したようにコクリとうなづいた。
その足音は徐々に大きくなり、目の前の道を通り過ぎる。
ウサギのような毛耳をしていて、ふわふわな長い髪の毛。紫のローブを着ていて、女の人。
いかにも怪しそうな恰好をしている。待ってなさい、今捕まえてやるから。
そして、女の人がこそこそと歩いて曲がり角を曲がったその時。
「行きましょ」
「そうだね」
物音に気を付けながら、そいつの後をつける。女は順調におばさんに見せの方へと向かっていく。
そして、しばらく進んでおばさんの目の前で立ち止まった。ここね。
物陰からそっと様子を確認。さて、どんな馬脚を現してくれるのか──。
「こんばんは。きょ、今日はどうしたの?」
「今回も持ってきましたよ。とても素敵な商品です」
ローブの人は大きい麻の袋から色々なものを取り出してくる。よく見えないけど、アクセサリーとか、見たことがない食べ物とか。
あれだと問題なものかはわからないから、あたり触りの無い接し方をして、一つ一つ調べるかたちになるのかな? 最初から警戒したそぶりは見せない方がいい。
「やはり、警戒してるのか小声ですね」
「そうだね。まず通りがかったようなそぶりで優しく話しかけて、やんわりとだよ──優しく話してどんなものがあるのかを確認しよう」
「それが一番ね。警戒されると逃げられるしもし何もなかったら問題になるし」
という事だ。おばあさんといろいろしゃべっている中、ロザリアとミシェウにコクリとアイコンタクトを取った。2人に刺激せずに話しかけたいと伝え、賛同してくれた。
「じゃあ、行きますよ。私とロザリアで、彼女の両肩をつかみます。ミシェウは明るい口調で話しかけてください」
「わかったわかった」
「では、行きますよ」
小声で合図を取って、女の人の元へと歩いていく。
「すいません、お話したいk──」
女の人は私たちに気づいたのか、一度こっちを振り返るとそそくさと走って逃げていく。
まって、絶対逃がさないから。
本当なら手荒い真似はしたくなかったのだが仕方がない。
狭い裏路地へと逃げ込む女。物が散らかっていて、捕まえるのに手間取ってしまう。
それでも、少しずつ相手と距離を詰めていく。追い込んでいって、相手の背中が見えるくらいまで接近していった。
「そこまでです!」
背中に手が届くか届かないかの距離まで追い詰めて、背中に飛び込む。地面に激突する私とオン案の人。一歩遅れてミシェウとロザリアが女の人のそばによって抑え込んだ。
「くそっ!」
「申し訳ありません。話があります」
「立ってください、暴れなければ危害を加えることはありません」
「そのものを見せてもらえますか?」
女は観念したのか、持っていた大きな袋を渡してきた。
どれどれと、袋を開ける。
袋の中には詰め込まれているかのようにいろいろなものが入っていた。
「なにこれ」
何でもない小物とか、保存がききそうなものとか。一見する特に問題はないように見える。まあ、いずれも見たことがない──ここではない場所のもの
「とりあえず、あのおばさんのところに行って話さない? 話しながらの方がわかることは多いだろうし」
「そうですね」
確かに、ここだと実際に今までいられていたのかとかわからないことがでしまう。
いったんさっきの場所まで戻ります。ついてきてください。
「わかりましたよ」
両腕を掴んで、一度おばさんの元へと移動していった。
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