陽光と月光 〜逆襲の唄〜

アキノリ@pokkey11.1

第一章

何をどう言われても私は貴方が好きです

第1話 暗黒に沈む世界

月と太陽の話。

よくある風と太陽の話ではない。

だが.....これもそこそこのお話である事は間違いはない。


正直に言おう。

これからするのは浮気の話だ。

相手を丸裸にする話ではあるかもしれないが。


☆遠野伸晃サイド☆


俺の名前は遠野伸晃(とおののぶあき)という。

県立高校2年生の至って普通の凡人。

黒縁メガネをしている短髪のSNS好きの人間だ。

成績は優秀って程じゃないが。

そこそこではある。


そんな俺だが今、落ち込んでいる。

何故落ち込んでいるかといえば。


飯場太陽(いいばたいよう)。

俺の彼女の名前なのだが。

メチャクチャな美少女であり何と言うかビッチという事に気が付いた。

SNSで裏垢をしていたのだ。

何故気が付いたかって?


後ろに映っていた1つのぬいぐるみが見た事のあるぬいぐるみだったから。

だから、まあ浮気しているな、と思ったのだ。

いや。浮気というか。

正確には何人もの男子と遊んでいる様だが。

とんでもない話だ。


「.....はあ」


9月の事。

俺はそんな溜息を吐きながらトボトボ歩きながら学校に登校する。

今日は太陽は学校で日直の為早めに登校した。

なので俺だけなのだが。

何というか落ち込んでいた。


「割とガチにクソだな」


イライラする。

そんな事を呟きながら俺は顔を上げる。

信号だけは確認しないと危ない。

そう思っていると、おにーさん、と声がした。

背後を見ると。


「あれ?月ちゃん」

「はい。貴方の月ちゃんですよー」


セーラー服を着こなしている飯場月(いいばつき)ちゃんが居た。

俺は笑みを浮かべながら、どうしたの?、と聞いてみる。

因みに月ちゃんの容姿だが。


茶色のロングヘアに。

前髪にヘアピンを2本着けている様な髪型をしている。

そして童顔ながらも究極美少女だ。


だけど俺はペドではない。

でもいつか良い人が見つかると良いな、と思える様な妹に近い存在。

太陽の妹であるのだが。


「おにーさん。元気ないですね」

「.....まあちょっとな。元気がないのはいつもの通りだけど今日は落ち込んでいる」

「そっか。それはつまりお姉ちゃんが浮気したからですよね」

「.....え.....」


俺は凍りつく。

何故その事を知っているのだこの子は。

愕然としながら顔を月ちゃんに向けてみる。

すると月ちゃんは、お姉ちゃんは最低ですね。.....まあでも大丈夫ですよ。おにーさん。私が.....貴方を癒してあげますから、と笑顔になる月ちゃん。


「癒す.....?いやいや。そこまでやってもらう必要はないけど。君に」

「何でですか?おにーさんは落ち込んでいますよね?」

「落ち込んでいるのは見事に落ち込んでいるが。.....だけど君にそんなにしてもらう義理はないから.....とりあ.....」

「おにーさん。私の胸って大きいんですよ」


耳打ち。

途中でそんな事を言われた。

俺は唖然としながら、冗談はよせ、と言う。

だが月ちゃんは冗談ではない顔をしながらニコッとする。


「おにーさん。慰めてあげましょうか」

「男を弄ぶんじゃない。.....全く」

「おにーさん。そんな事を言っても強くは聞こえませんよ。今は」

「俺は彼女が居るから」

「その彼女は最低な行為をしています。.....ならおにーさんが最低な行為をしても良いですよね?私と」


ニコニコしながらそう宣言する月ちゃん。

俺は赤くなりながら、遅刻するから、と話す。

はい。じゃあ放課後ですね、と俺の手を握ってから離す月ちゃん。


何か渡されて握られたのだが。

ん?何だ、と思いながら見ると.....それはコンドームだった。

うわ!、と声を上げる俺。


「.....!?」

「おにーさん。もう一度言いますけどお姉ちゃんは最低な真似をしています。だったら私と最低な真似をしても普通に良いですよね」

「いや。好きでもない相手にそんな事をしたらダメだよ.....」

「好きでもない相手にそんな事をしたらダメですか?なら好きな相手なら良いんですね?.....私は貴方が好きです」

「へ.....」

「私は好きですよ?おにーさん。貴方が。お姉ちゃん以上に貴方が好きですよ。.....コンドームを貴方に渡したのはイエス。つまりそういう表れですが?」


俺は半端じゃないぐらいカチコチに動揺する。

それから目を見開く。

鼓動が早くなる。

そしてコンドームを握りしめる。

子供がそんな事をするんじゃない、と俺は振り返ってから去る。


「おにーさん。放課後。待ってますから♡」

「.....」


あくまで子供の戯言だと思う。

思いながら俺はコンドームを公園のゴミ箱に捨ててから。

そのまま高校に登校する。

すると太陽が手を挙げてやって来た。

黒板消しを片手に、おはよう!、と言いながら.....。

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