翻作・伊勢物語
@togataka
三十 はつかなりける女
"むかし、男、はつかなりける女のもとに、
あふことは玉の緒ばかりおもほえてつらき心の長く見ゆらむ"
" 昔のことである。一人の男がいた。男は悩んでいた。男には愛する女(ひと)がいた。男は彼女になかなか会えなかったのだ。
女はいわゆるデキる女だった。男は不安だった。周囲にもてはやされる、誰もが愛するあの女がいつか自分の元からいなくなるのではないか、と。離れてる時間がつらい。今、あの人は笑っているのだろうか。疲れているのだろうか。どんな顔で笑っているのだろう。誰に笑いかけているのだろう。
今日は久しぶりに彼女と逢える日。いっぱい話を聞いてもらった。いっぱい笑いあった。ほんの僅かな幸せな時間は、玉の緒(数珠と数珠の隙間に見える紐)の長さに同じ。短いからこそ、最高の、素敵な時間を。ああ、今日でもっとあなたのことが好きになっちゃったなぁ。
会えない時間が……あぁ、つらいなぁ。でも好きなんだよなぁ。
あふことは玉の緒ばかりおもほえてつらき心の長く見ゆらむ"
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