生き返ったと思ったら、かまってちゃんなアンドロイドを押しつけられたあげく、自爆するって脅されてるんだけど!?
藤原くう
プロローグ
パンパカパーン。
周囲はどこまでも真っ白。あの世というには寂しすぎるような、そんな世界でわたしは目を覚ました。
チープなファンファーレとともに、目の前に女性が現れる。神様みたいな見た目をしたえらそーな女だ。
「まことに残念ながら、あなたは死んでしまいました。おお少女よ、死んでしまうとは――」
「御託はいいので要点だけ言ってください。どうせ、異世界転生とか転移なんでしょ」
「どうせってひどいですねえ。ちょっと違いますし。あなたを生き返らせてあげるという話です」
よよよ、と女が泣きまねをしながら、いかにも女神が着てそうな羽衣の裾で鼻をすすっている。汚い。
「つまりですね、あなたには人類保護プログラムが適用されます」
「はあ」
「人類は希少価値の高い生命体ですからね、私どもが懇切丁寧安心安全に保護していかなければならない次第でして、それで一度死んでしまった人間を生き返らせ――」
「だーかーらー、そういうのはいいんだって。なにくれるの?」
「せっかちすぎやしないでしょうか、この女」
「だって、そんなの聞き飽きたし」
正直、こんな場面に時間をかけているわけにはいかない。巻きでいきましょ、巻きで。
「はいはいわかりましたよ」
女神さまが大きくため息をつく。
「死んでしまわれた方には、次は長生きしてもらえるように、アンドロイドを支給することになっています」
「そのアンドロイドを選べ、ということね」
「――本来であればそのつもりでした」
「本来は?」
「神にも等しい私にこのような不躾な態度をしてきたのはあなたがはじめてです! 不敬罪だ! 選択肢なんかやらんわっ!」
「はあっ!? そんなの許されるわけが」
「許されるとか知らんもんっ。私が神なんだもーん」
その神様は「来世で詫びろ」とかなんとか、わたしに対するありとあらゆる罵詈雑言を並べ立ててきやがった。その上、お尻フリフリ、舌を出している。こいつホントに神様か?
そこらへんのガキだろ絶対……。
「はー!? ガキってこのぼんきゅっぼん見てそんなことよくほざけましたねえ。我、銀河でも指折りの権力者ぞ! もー頭にきた。あんたには、とっておきのアンドロイドをプレゼントしますから」
「とっておき?」
「そうですとも! 聞いて驚け見て驚け! 宇宙を一瞬で木っ端みじんにする自爆機能付きのアンドロイドだからなっ。しかも女だから、お前とは絶対にに恋人にならないよ」
冗談みたいに大きな胸をこれでもかと張って高笑いを浮かべている神様へ、わたしは言ってやる。
「それ、わたし保護してくれんの?」
「あ」
その言葉を最後に、わたしの視界が暗転していく。
まっいっか、という声が聞こえた気がした。どこがいいんだよ。
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