第24話 ど直球な愛の片思いの告白。

♦︎目に白い霧が立ち込めてきたよ、その向こうに川だ・・

これが噂に聞く三途の川か・・

川の向こうには富士山・・

そして、鷹が飛んでて、

茄子が・・・・お茶畑だのいい香りが。


これが天国か!?

天国なのか!?

この私が天国に行けるとは思ってなかったよ。ラッキー⭐︎


しかし見ようによっては普通に浜松の風景みたいにもに見えるなあ。

ということは、三途のかわは馬込川か!?

うなぎ食べたいな・・・・


私の目の前に天国の扉が現れた。

その扉がゆっくり開いたかと思うと、その向こうに黒い人影が揺れているのが見えた。

おお!閻魔くんの降臨か!?

降臨したのは、閻魔くんではなく、

タクシードライバーくんだった。


「真衣華さん、好きだああああああああ!!!!!!」

タクシードライバーくんが叫んだ!!


恥ずかしい、しかもウザい。

藤村甲子園並みの、ど直球な愛の片思いの告白。


ちなみに藤村甲子園は水島新司先生の漫画、「男どアホウ甲子園」の登場人物で

直球しか投げない剛腕投手。ストレートの最高速度は164kmに達する。


ちなみに大リーガーの大谷翔平選手の最速の直球は162km。

藤村甲子園がいかに優れた投手であるかお分かりいただけたであろう。


ここで一句

天国に

行く人全部

中二病


とうとうお迎えが来た。私の頭の回線もクラッシュだ!!

私はそう確信した。


タクシードライバーくんはだんだんこちらに近づいてきた。


♦︎くるなよお、


彼は震えながら拳銃を両手で握っていた。

タクシードライバーくん、ダメだそれでは当たらないよ。


「ブヨブヨ、真衣華さんから離れろ!」

タクシードライバーくんは泣いていた。

彼は私のために泣いてくれている。


きゅん♡


タクシードライバーくんが持っている銃は、この部屋に無造作に置かれていた郷田のコレクションS&W M19だった。


S&W M19はアニメ「ルパン3世」でルパンの相棒、早撃0.3秒の次元大介が愛用する銃だ。マグナム弾を装着した場合、衝撃で肩を脱臼することもあるという。

とても素人に撃てる銃じゃない。


霧が晴れると、月光がタクシードライバーくんを応援するように、

窓から差し込んで、ブヨブヨのおぞましい姿を照らし出した。


「おおおおおお、変化形態その2!」


月光を浴びたブヨブヨは、一度蒸発してから、元のマッチョな郷田の姿に、

再生結合されていった。


♦︎やはりもののけ♡


「小僧、楽しいことしてくれるじゃないか、お前にそのS&W M19が撃てるかな」

うすら笑いを口もとに浮かべながら、郷田は私から離れて、

裸のままタクシードライバーくんの前に仁王立ちした。

この男には羞恥心をいうものがない。

私はすかさずシーツにくるまり体を隠す。


「真衣華さん離れろ!」


「てめえの、音声機能はポンコツかあ、さっきからそればっかだな」


「うるさい!!、離れろ」


「そうか、そんなに真衣華とやりたかったのか、童貞くん」


「うるさい」


“ばーーーーん”


男の子は、郷田の額に狙いを定めてS&W M19の引き金を引いた。

ものすごい音がして、天井や壁に大量の血飛沫が飛びる。


「きゃあ!」


♦︎やったのか、バカな子・・


しかし・・・


しかし吹き飛ばされたのは郷田の頭ではなく、

男の子だった。


「それにしてもあぶなかった、拳銃が暴発するように細工しといてよかった」


銃が暴発したのだ。

衝撃で男の子は肩から血を流して後ろの壁までふっ飛ばされた。

郷田は、高笑いをあげながら、私の方に振り返った。


「次は、真衣華お前だ。お前の綺麗な顔が、

醜く砕け散ると思うと楽しみで仕方ないぜ」


「真衣華・・さん・・離れろ・・・」

男の子は、肩から血を流しながら、郷田にタックルした。

「もう電池切れかかってんじゃねえか

その状態で俺に勝てるか、このもやし野郎」


郷田は、男の子の首を片手で軽々と掴んで、

そのまま持ち上げた。なんんという怪力。

男の子の顔は、真っ赤になり唇が紫色の変色していく。


「“ぼく”ちゃん、真衣華がそんなに恋しいか、でも残念だな。お前も真衣華も

ここで死ぬんだ」


「やめて!!!!」


私のせいだ、私が死ぬなんて考えるから、

男の子を巻き込んでしまった。

目の前で郷田が男の子の首を締め上げていく。


「だめ、郷田さん。やめて、彼しんじゃう」


「さっきまで死にたいと言ってた女が、何ほざいてるんだ。この“ぼく”がやったことは立派な殺人未遂だぜ、報いは受けてもらう」


男の子は、いきも絶え絶えで、命の炎が尽きる寸前だった。

続く







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