第20話 ジンマシンで体がマシュマロマン

ナビ「この先ラ・ソースから、

オーリュージュコーナーです。

アクセルを限界まで踏み込んで加速を続けてください」



♠️普通ナビが、フルスロットルの指示出すか?

しかも、この車どこ走ってんだよ!

それでも僕は、ナビに言われるがまま、ポルシェ718ケイマンのアクセルを

いっぱいまで踏み込んだ。


エンジンが唸りをあげて、

縦方向と横方向の

Gフォースが同時に体を締め付けて、アクセルを踏むのさえ苦しい。

体がシートに押し付けられる。


それでもシャーシはびくともしない。

車は恐ろしい速度で加速した。

0〜100kmまでわずか4.4秒。


♠️こいつは野獣だ。

街中をチンタラ、コンビニまで運転するタマじゃない。

全開走行を前提に作られた。生まれつきのビースト、”捕食者”だ。


ナビ「発電量1.21ジゴワット、次元転移装置始動します」

しかしナビは常に冷静だ。


♠️次元転そうちぃ??1.21ジゴワットぉ??

ナビは僕をどこに連れて行こうとしているんだ??


目の前にトンネルの入り口が現れて、

車は金色の光に包まれた内部に車は吸い込まれていった。


♠️あの世か!?


制限速度60キロと書いてあったので、僕はアクセルを戻した。

トンネルの中に新鮮な湧水があったので水を飲んだ。

私して、トイレで用をたす幻想を見た。

その間、女は眠ったままだ。


♠️もしかして、僕は彼女の夢の中をドライブしているのか?

まさかね!


気がつくと、車は古い洋館の前に停止していた。

僕は慌てて、パンツを確かめたけれど、

お漏らしはしていなかった。


♠️ほっ!やばかった。


「ついたのね悪魔島アイランド、

魔監獄3丁目」


女は、起きたようだ。

大きな瞳を僕にロックオンしたまま、

茶色いチェック柄のコートをゆっくりと脱いでいる。

つるりとした小さな肩が、ワンピースからのぞいている。


♠️うわ、おぞましい

てか、早く降りろおい!

ジンマシンで体がマシュマロマンみたいに

膨張ちゅうだよ。

しかも、おしっこ行きたくなってきたよ。


彼女のコートを脱ぐと、スケルトンの赤いワンピースの胸もとに

7割がた露出した白い巨乳の上、はんぶんが見えている。


♠️しまっとけ!


「お客様、到着しましたよ、降りてください」


女はスローな動きで、なかなか外に出ない。


♠️何してんだ、この女、早く降りてくれよ、

ほんと頼むから。

痒いしおしっこ行きたいし、もう地獄だよ。


いつの間にか洋館の窓という窓の明かりが一気に点灯して、

あたりが明るくなっている。


♠️漏れるよお・・・・


「ドア開けてくださるかしら?」


僕は慌てて、車を降りて、助手席のドアを開けた。


「ありがとう」


女は、きゅっとくびれた腰をかがめて、

ひざ上までしかないワンピースから覗く細い足を、

ゆっくりと、車の外に出した。


♠️じれったいんだよ!もっとテキパキ動けよ!!

牛丼屋のバイトだったらクビもんだ!!


♦︎何、この子、そわしわもうイキそうなのかしら、

やだ変態。やっぱヘタレの玉子王子には萎える。


♠️もう限界だ、今や痒さより、限界まで膨張した膀胱の方がやばいよ・・


♦︎このまま一人で逝ってくれたら、

服脱ぐ必要ないじゃん。

イケ、逝っちまえ。


ようやく女は車の外にでた。


「あのね、いっとくけど、私処女なの。

処女の娼婦とセックスしたことおありかしら?」


♠️何言ってんだこの女、

頭大丈夫かよ。

それよか膀胱ぱんぱんだよ・・。


「お代金はクレジット払いのみになります、

こちらにサインお願いします」


♦︎サインってなんだよ。

なんで客からサイン求められるんだよ?

普通暗唱番号だろ!?

わたしゃ野球選手じゃないってーの!

ペンタコできるから、字書くのやなんだよ!


「こちらでよろしくって?」


女は筆圧が異常に高くて、学生みたいな丸文字で“出雲真衣華”と書き込んだ。


”イ・ズ・モ・マ・イ・カ、”


それが彼女の名前のようだった。


「ありがとうございます。それでは僕はこれで帰ります」


「え、帰るの?今夜のお客さんじゃないの?」


「お客さん?いえ、僕はただのタクシードライバーです。

お客様を目的地までお送りしたら帰ります」


真衣華は沈黙した。


♦︎やばい、間違えた、マッチョ郷田が客だったんだ!


続く



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