第12話 ジゴクの私を助けて!
眠いよ・・・なんでこんなに眠いんだ・・
「このあまぁ!」
隣のテーブルで、男が女の頬を殴った。
私は思わず男を見た、その顔は私の元恋人に違いない。
彼の白目は黄色く濁り、
獣のように、髭がのび、体毛が逆立ち、
さっきより腕が2倍も太くなっていた、
顔は元恋人だが、獣のように体が硬い体毛で覆われて、
前屈みに私の方を振り向いた。
「ひいっ」
私は無意識に自分の両頬を手で押さえていた。
心が痛んだ。
じんわり目から涙が滲んできた。
隣のテーブルにサンタちゃんが降臨していた。
サンタちゃんは、怒っていた。
「女の、それも顔を叩く男なんて人間のくずだ。生きている価値さえないよな。
私は、そういう男を片っ端からジゴクに落としてやることに決めてんだ」
サンタちゃんは、そういうと胸の谷間から、S &W M29を取り出した。
映画「ダーティーハリー」のハリー・キャラハン刑事が使用していた、
当時史上最強と謳われたハンドガンがS &W M29だ。
サンタちゃんは、回転式の弾倉をくるくる回して、
中に44マグナム弾を装着していく。
「サンタちゃん・・ダメだ・・」
その思いは言葉にならず、私の脳は眠りの井戸に急落下中だ。
眠りに落ちながら、暴力的な恋人に全てを支配されていた生活がフラッシュバックされる。
”やだ、つらいよ・・悲しいよ、えーん、えーん”
「そんな嫌な思い出、捨てちまいな!」
サンタちゃんは、まるで私の思考が見えるたみたいに、
私を平手打ちした元恋人に、S &W M29の銃口を向けた。
「Go ahead, make my day.」
まるで本当みたいなリアルな夢だな、と思う間に、
サンタちゃんは、恋人にS &W M29をぶっ放した!!
「ぎゃああああああ!!やめて!!」
私は、そこで目を覚ました。
隣のテーブルでは、グッチの女がハンドバッグを掴み立ち上がり、
ド出口に向かっている。
そうだ、逃げちゃいな、どこまでも、逃げちゃえ。
私は心のなかでつぶやいた。
しらぬ間に、サンタちゃんも、隣の男も、姿が見えなくなっていた。
続く
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