第12話:え?・・・ダーリン?
紗凪のことは母親に全部話した。
付き合ってることも、紗凪の昨日の出来事と病気のことも・・・。
黙って僕の話を聞いていた母親は紗凪のことを「大事にしてあげなさい」
って言ってくれた。
僕たちのこと「応援してるよ」ってことも・・・。
紗凪は次の日、学校を休んだ。
まあ、しかたないよな・・・気持ちが落ち着くまではね。
いくら恋人だからって、僕まで学校を休むわけにはいかない。
はじめて紗凪がいないバス停。
ひとりで乗るバス。
なんとも寂しくて切ない気分。
いつも紗凪の笑顔があったのに・・・って、いかん、僕がナーバスに
なっちゃったらダメだろ。
今だって、紗凪に合えば笑ってくれるじゃん。
別に紗凪にフラれた訳でも、分かれた訳でもないんだから・・・。
学校に行くと、紗凪のことは学校にも連絡が入ってたと見えて、クラス中に
知れ渡っていて、俺はみんなから質問ぜめにあった。
まあ、一番事情に詳しいのは僕だし・・・。
めんどうだから適当に言葉を濁しておいてやった。
言ったってどうせ、みんな自分のこと以外はすぐに関心がなくなるんだから・・・。
結局、僕は紗凪のことが心配で先生の授業なんか耳には入らなかった。
学校が終わると僕は、一目散にマンションに帰った。
気持ちはバスより早かったかもしれない。
紗凪のことが心配だったし、会いたかったから、帰るや否や取るものも
取り敢えず紗凪の部屋を訪ねた。
紗凪のお母さんが出てきて、快く中に入れてくれた。
紗凪はリビングのソファにもたれてテレビを観ていた。
で、僕を見つけて、嬉しそうに笑った。
で、僕においで、おいでして、僕が紗凪のそばに行くと小さな声で言った。
「早く会いたかった」
「うん、僕も・・・」
「どう?調子?」
「うん大丈夫・・・今日は気分いいよ」
「明日から学校行けると思う・・・」
「まだ無理しない方がいいんじゃないか?」
「だって、おうちにいても退屈なんだもん」
「昼間は愛彦に会えないし・・・」
「僕も学校休んで、紗凪と一緒にいてあげたいけど、申し合わせたみたいに
休んだら、またなに噂されるか分かんないしね」
「じゃ〜明日学校行く」
「分かった・・・また発作に見舞われるといけないから僕がずっとそばに
いるからね 」
「って言うか・・・なるべく楽しいこと考えて?」
「考えてるよ・・・愛彦のこと」
「そうか・・・僕は幸せもんだな」
「あ、そうそう、紗凪の調子がよくなったら一緒に行こうと思って、
コンビニで映画の前売り券買って来たんだけど・・・」
「土曜に一緒に映画、観に行こう」
そう言って僕は紗凪に映画のチケットを見せた。
「ああ・・・
「まだやってたんだね」
「洋画もあるけど・・・あとアニメとか・・・」
「いい・・・この映画で」
「・・・これってもしかして初デートじゃない?、私たちの・・・」
「そう言えば・・・デートらしいデートしてなかったよな」
「じゃ〜午前中、映画見て、どこかで昼飯食って、それから・・・え〜と・・・」
「遊園地か、動物園って決まってるでしょ」
「あはは、芸のない選択・・・無難なことろだね・・・まあ僕は紗凪となら
どこだっていいけど・・・」
「私も」
「じゃ〜そう言うことでね、明日一緒に登校しようね・・・おやすみ」
「え?もう帰るの?」
「腹減ってるの・・・晩飯食わして」
「それに隣にいるんだから会いたくなったら「来て〜」ってメッセ送って、
飛んでくるから・・・」
「おやすみ、紗凪」
「おやすみ・・・ダーリン」
「え?・・・・ダーリン?」
紗凪はピースサインをして目を細くしてコクコクうなずいた。
僕たちが観に行く映画は、すでに
考えてみたら僕たちのはじめてのデート、ちょっとドキドキしたりする。
土曜日のデートが楽しみでしかたがない僕なのだ。
つづく。
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