魔女と呼ばれる人がいる

やた

第1話 アイスクリーム

 魔女と呼ばれる人がいる。

 わけあって、というか、きっかけがあって、僕はその人の友人である。

 今日は、その人の家に行って、掃除をした。頼まれたのだ。予想以上に本格的な掃除に付き合わされたけど、掃除は家でもしているので、特に苦労はしなかった。

 

「魔女って言ってたじゃないですか」

 お礼だって言って渡されたアイスを食べながら聞いてみる。なんか途中でどっか行ったなと思ったら、彼女はコンビニに行っていたらしかった。

「魔女ってどういうことができるんですか」

 僕はソーダのアイスを食べて、彼女はバニラを食べていた。

「魔法が使えるよ」

 まあ、そりゃあ。

「たとえば」

 縁側に座った彼女は広い庭のどこを見るでもなく、どこかを見ていた。

「うーん。占い的な事とか」

「え、じゃあ、俺のこと視てくださいよ」

 えーって、彼女は嫌そうな顔をする。踏み込んだ質問だったかなと思うが、返事を待ってみる。彼女のバニラが溶けかけていて、ぐちゃぐちゃだった。僕のソーダはまだ大丈夫そうだったけど、なんとなく焦ってしゃくりと大口で食べた。

「はい視えた。君はいつか死ぬ」

「みんなそうでしょう」

 まあね、と、彼女は牛丼みたいにバニラアイスをかき込んで、ゴミ箱へ向かった。

 彼女の白いタンクトップがなんだか淋しく見えた。

「不老不死なんですか?」

 そういうと、彼女はこっちを振り向いて、違うよーと笑った。

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