四匙め
「ここはどこ?」
少女がひとり。霧の中。
あたりにただよう甘い香りに、
すっかり、うっとり目を閉じた。
まぶたの向こうで霧の声。
「ここがどこでもここはここ。それより何よりお菓子でも?」
たずねた少女は小首をかしげて、
それから「ステキ」と驚いた。
パウダーココアのシックなドレス。
彩るレースは粉砂糖。
幾重に重なるホイップクリームのふわふわフリル。
苺のリボンのヘッドドレスを、最後にちょこんとかぶったら、かわいらしいロリータの出来上がり。
少女はうふふと微笑んで、甘いドレスとくるくる踊る。
そうして、それからそう言えば。
霧に向かって問いかける。
「とてもステキなおもてなし。ありがとう。うれしいわ。ところで、お菓子はどこにある?」
少女に答えて霧の声。
「それは君だよ。お姫さま」
あっという間に、ロリータ少女。
いただきますと、声の主に食べられちゃった。
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