第72話 深層配信(5)

<うぉー!>

<まじかよ!>

<こんな一瞬で勝負決まるのか!>

<【3,000円】かずやん最強!かずやん最強!かずやん最強!>

<物理が効かないなら凍らせればいい!>

<氷結のスキル…>

<しかもあのバカでかいヒルを一瞬で凍結って…>

<ただ…かずやん三角座りして一向に動こうとせんぞ…>

<かずやーん!せめてセーフゾーンに移動しようぜ!>


「どうせ俺なんて…はぁ…俺なんて生きてる意味ないよな…」

<めっちゃなんだ闇落ちしてね?>

<かずやん!何があったんだよ!?>

<【10,000円】俺らの希望だからそんなこと言うなよ!>

<【500円】おーい!かずやん!俺はかずやんの配信好きだぞ!>

<【1,000円】私もいつも見て元気貰ってます!>


スパチャがどんどん飛んでくる。


励ましの声、好意的な声がめちゃくちゃ嬉しい。

気持ちがあったかくなっていく。

俺なんでこんな死にたいって思ってたんだっけ…。

あー…あのスキル使ったからか。


あのスキル精神面の反動がひどすぎて、前は誰もフォローしてくれないから立ち直るのに1週間ほど掛かったんだよな…。

周りのみんなに迷惑かけたなー…。


「み、皆さんありがとうございます!!スキルの反動でダウナー状態になってました…。もう大丈夫です!」

少し気落ちした感が残っている感じはするが、もう時間の問題ほぼほぼ大丈夫だろう。


ジャイアントヒルを倒してしまえば2層は突破したも同然だったこともあってスキルを使ってみたが、やはりこのスキルは使いどころが難しい。


時刻を確認すると19時を少し回ったところ、腹の虫が大音量で喚き散らした。

「今日はめちゃくちゃ動いたのでお腹すきました!セーフゾーンで料理したら配信を終了しようと思います!」

<待ってましたー!>

<飯テロ配信!>

<食材は…マッハラビット?>

<それともマンティコア?>

<どんな料理作るんだろう>


「今日は結構動いたし明日は明日でめっちゃ大変だと思うので、ガッツリ肉と野菜を食べたいと思います!」

セーフゾーンに着いた俺は、包丁とまな板、マジックバックからファイアグリルとバーベキュー串、後はフライパンを取り出しておく。

あとは焼肉のたれと味噌、フレッシュピーマンを2つとエメラルドキャベツを数枚を湧き水できれいに洗ったら準備は完了だ。


「じゃあ調理を始めますね!フレッシュピーマンは四等分にして、エメラルドキャベツは一口大に手でちぎって水気を取っておいたら野菜の準備は完了です。次にマンティコアを大きめにぶつ切りにしてバーベキュー串に刺していきます。最後にマッハラビットの肉をこんな感じで粗ミンチにしたら準備は完了です!」


ファイアグリルに火を入れる、炭の焼ける匂いと温かさはいつもながらホッとするな。

「最初は粗ミンチしたマッハラビットの肉をフライパンで炒めて、ある程度火が入ったら焼肉のたれと味噌を入れて肉に味が絡んだら完成!調味料も少なくてすむ簡単手軽な肉みそです!小葱があればかけると味のアクセントが出ていいと思います」

<へぇ…焼肉のたれと味噌で肉みそができるのか…>

<手軽だし試してみようかな?>

<どんな味がするんだろ?>


「さて、あとはこの串ですね。これにガーリックマシマシのオリジナルスパイスを掛けたらじっくり火にかけていきます。正直もう腹減りすぎてるので…焼きながら晩御飯食べたいと思います!さて肉みそと肉串といえば…じゃん!金色のやつ!ってことでいただきます!」

キンキンに冷えたビールが喉を抜ける。


「かぁー!マジでウマイ!さて四等分したピーマンに肉みそをのせたらそのままかぶりつきます!」

パリッとしたピーマンの食感と苦み、あとは生ピーマンのフレッシュさを感じた後、マジックラビットのゴロっとした肉の食感と味噌と焼肉のたれが絶妙にマッチしている。

「これはビールが止まらん!あとはキャベツも肉みそが合うんですよ!これもビールが進みます!」

あっという間に用意していたピーマンとキャベツを食べきってしまった。

ただ肉みそはまだ残っている。


パッと思いついたので、マジックバックからピーマンを取り出し軽く洗ったらヘタをグイっと押し込んで種を取り出す。ぽっかり開いた穴に肉みそを詰め込んで、とろけるチーズで蓋をしてフライパンでチーズ面に火を入れる。


「チーズが溶けてきたら完成!肉みそチーズ焼きです!」

出来立てを即かぶりつくとフレッシュなピーマンの苦みと肉みそ、そしてチーズの旨みが相乗効果を生み出している。


「これは…ビールが進みすぎてしまってヤバいです!」

気付けばビールが3本開いてしまった。


ジューッといい感じに肉の焼ける音とニンニクの香ばしい香りが食欲を増進させる。

そろそろメインディッシュができたようだ。


「最後はマンティコアのバーベキューです!」

野菜はさっきしっかり食べたので、ここからは肉のターンだ。


バーベキュー串からぶつ切り肉を一つ口で外し、そのまま口いっぱい頬張った。

炭火の香ばしい香りに、嚙んだ瞬間あふれ出る肉汁と野性味あふれる肉の旨味を感じた後、ニンニクマシマシでパンチのある味わいが追い打つように口いっぱいに広がっていく…。


「バァアアァー言葉にならんよー!肉汁で溺れそう。後はやっぱり肉とニンニクは最強の組み合わせですね!」

しっかり咀嚼し味わった後、ビールを流し込む。一切れで一本ビールを開けてしまった。

<うわぁあああああああー!!!>

<ヤバいマジうまそう!>

<かずやんのスパイス売り切れてて買えない!!>

<【2,000円】ニンニクマシマシとか…マジ罪の味だろ>

<肉みそとチーズとかもうヤバいヤツじゃん…>

<塊肉くいてー!!>

<【10,000円】お店…お店出してください!!!食べたすぎるー!>

<「パンプキン」深層いったら絶対やります!!>

<「姫っちゃん」…お土産…期待して…いいですか?>

<姫っちゃんwww>

<パンプキンも飯テロ配信してー!>

<「パンプキン」自分たちは荷物を厳選しないとなので、ダンジョン探索中こんなうまそうな料理なんて食べれないですよ!>

<感情むき出しwww>

<でもこれ見てたらわかるよ…マジックバック有能すぎ!>


最後の一切れもしっかり味わい、そしてビールで締めくくる。


「はぁ…ごちそうさまでした!」

しっかり手を合わせ、すべての食材に感謝した。


「では!これで今日の配信は終わります!明日は7時から配信再開予定ですが…寝落ちしたらごめんなさい!」

<【500円】おつー!>

<【3,000円】めっちゃよかった!>

<明日も楽しみにしてます!>

<【10,000円】かずやん、無理はするなよー!>

<【5,000円】かずやん最強!かずやん最強!かずやん最強!かずやん最強!>


配信を終えた俺は…満足しきってそのまま深い眠りに落ちていった。


―――――――――――


肉みそと生ピーマンってマジでヤバい組み合わせですよね!

個人的にはつくねと生ピーマンをポン酢からしで食べるのマジぱねぇんです。

ポン酒も合うし…酒が進みすぎてヤバいです。


★500ありがとうございます!本日2話更新です!


「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!

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