第17話 下層配信

「さて、皆さん下層に到着しました!」

<上層、中層ってこんな一瞬で攻略できたんだっけ?>

<ミノタ絶望の顔>

<すれ違いざまの一撃で倒されるかわいそうなミノタ;;>

<下層ってどう見ても草原にしか見えないんだが…>

<中層と下層は大きな壁があって、上層中層は洞窟ダンジョンだけど、下層からはフロアって概念が出てくるんだ。今のダンジョンは草原フロアのようだな。>

「おっ、下層について知っている人も見てくれてるんですね。そうなんです。下層からはダンジョンによって異なるんですが、草原、山岳、火山、氷山、ダンジョン型とランダムなフロアが特徴になってます。火山、氷山は軽装だと少ししんどいので草原で良かったです。ダンジョン型のときは湧き水はろ過されてるので普通に飲めるんですが、ダンジョン型と火山以外の下層はしっかり煮沸消毒してから飲まないとお腹を下すので要注意ですよ!」

<下層まで行かないから大丈夫!>

<火山、氷山って…少ししんどいレベルで済むのか?>

<かずやんは人間辞めてるから…>

<そもそもダンジョンの湧き水って煮沸消毒不要なのか…>

<市販の湧き水も消毒されてないだろ?>

<たしかに言われてみれば、、、サンクス>

<火山の水って飲めるのか?>

<冷ませばワンチャン?>

「さて…本日の食材の発表です…じゃかじゃかじゃか…じゃん!グリフォン!」

<擬音を声で再現するなしww>

<下層の空気感じゃないw>

<グリフォン!?>

<Aランクモンスターじゃん>

<いやいや無謀すぎ>

<前回でCランクでしょ。Bランクどこ行った>

<モンスターのランクって一つ上がるごとにどれぐらい違いがあるの?>

<蟻とライオンぐらいじゃないかな…>

<でもサイクロプスのイレギュラーも瞬殺してたし大丈夫でしょ?>

<普通のBランクとイレギュラーのDランクだと、圧倒的Bランクのほうが強いぞ?>

<まじか>

「みなさん。そんな騒がなくて大丈夫ですよ。鷲とライオンが合体しただけですよ?鳥と牛肉っぽい2種類のお肉が一度に楽しめるので魅力ある食材ではあるんですが、下層だと比較的容易に出てくるのでありがたみは薄いんですよね…言ってるそばからほらあそこにいるでしょ?」

少し離れたところで、ミノタウロスを捕食中のグリフォンがいた。

<うわっほんとに鷲とライオン合体してんじゃん>

<ミノタウロスのほうが強そうに見えるのに捕食してる>

こちらがグリフォンを見ていると、不意にグリフォンと目が合った。

「目が合いましたね。獲物を横取りされたくないのか、こっちを獲物と判断したのかどっちでしょうか?」

食べかけとかいらないが、食材が向こうからやってきてくれたんだから感謝しないと。

<おいおいおい言ってるそばから来たぞ!>

<いやいや逃げろ!>

「さて、素手で相手してもいいんですが、久々なのでちょっと武器を使います。」

鞄からサバイバルナイフを取り出しサイドステップでグリフォンの横に回る。

「グリフォンの弱点は…鷲とライオンの合体している部分で、そこに気を纏ったナイフを一閃すれば…っと」

スパッと鷲とライオンが2つに分離する。思い描いた技を出せて一安心。

「よし、こんな感じでグリフォンが狩れます。さて爪はギルドに渡す必要があるので…ちょっとグロいので一時停止しますね。」

配信を一時停止して、サクッと肉と爪に解体する。毛皮も一部人気があるようだが持って帰るのも一苦労なのでマジックバックを手に入れるまでには放置するしかない。

「お待たせしました。さっきの狩り方だと肉の味が混じらないのでおいしくいただけるんです。さてと解体が完了したので、セーフゾーンで酒盛りにしましょうか!」

<早すぎw>

<解体ってそんな簡単にできるんだっけ?>

<そんな馬鹿な>

<【8,989円】今日の料理は何ですか?>

「今日の料理は…できてからのお楽しみです!」

「さて、最初にエメラルドキャベツを千切りにして中層で汲んでおいた湧き水にさらしておきます。こうするとシャキッと感がより一層際立って、メインを引き立ててくれるんですよね。

鷲のお肉を一口大にカットして、しょうがとニンニクのすりおろし、醤油、酒、みりんにしばらく漬け込みます。

一品目の下準備はできたので、次は二品目の準備に取り掛かります。

フラッシュピーマンはカットする前にヘタ周辺を軽く切り、爆発しないようにした処理したうえで半分に切り種を取り除きます。

失敗すると強烈な光が目を焼くので要注意です。

フラッシュピーマンは縦に少し太めに細切り、ダンタマは繊維に沿ってフラッシュピーマンと同じぐらいの太さに切ります。

食感が欲しければくし切りでもよいですが、同じぐらいの太さに揃えたほうが食べた時の食感のバランスが良いと思ってます。

肉も同じ太さで細切りにして塩コショウしたら片栗粉をまぶす…と、二品目の下準備も終わったのでこれから調理していきます!」


―――――――――――

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