筋肉魔法でダンジョン配信
KAKUSUKE
1回 立花翔、牛を狩る
「もう・・・無理かもしれないな・・・」
薄暗い洞窟のなか暗い顔をしポツンとたたずむ一人の男
立花 翔(たちばな かける)31歳
職業 工場作業員
何故こんなところにいるのかというと
「今日も同接0人・・・か」
ダンジョンが発生し各国がダンジョン資源を必要としダンジョンに潜る世界
そんな中ダンジョンの内部をカメラで撮影しネットに発信する配信者が人気となる
地上では見られない風景や命の取り合うスリル満点の戦いに人々が夢中になるのに時間がかからなかった
人類の科学力の力で一人で激しい動きを撮影できるカメラ
ダンジョンカメラは洞窟内の魔力を燃料に飛び回るドローン式のカメラである
一日で同接50万をたたき出すトップダンチューバーもいれば、その陰で燻るダンチューバーもいる
そんな燻るダンチューバーに属してしまっている立花
ピロン
「あ!一人来てくれた!えーっと初めましてショウです!えーーーっと、あ!あそこにミノタウロスがいます。戦ってきます!」
筋肉ムキムキの牛頭、ミノタウロスを発見するとルンルンとスキップで近づく
当然そんな警戒せずに近づくとバレてしまい獲物の大斧を振り上げ一閃、世界にスプラッタ動画を提供してしまうのだが
「フン!!」
「ブモッ!?」
体に力をこめると大斧の一撃を受け止めてしまったのである
ミノタウロスもまさか体で受け止めるというまさかの手段に驚き固まってしまう
鎧を着ている訳でもなく、己の肉体で受け止めている
そして無傷なのである
「オラァ!!」
目の前の光景が信じられずに固まってしまっているミノタウロスの顔面に右フック
無防備の顔面にクリーンヒットし、そのまま頭部だけ横一回転
そのまま絶命し消えてしまう
「どうですか!ミノタウロス討伐完了です!」
『合成乙』
「え?いやいや合成とかじゃないですよ」
『つか斧を体で受け止めるとかないからwwもうちょっとリアルよりにしろよバーーーカww』
「いや、これは僕の魔法で」
『一生やってろ間抜けww』ピロン
「あ・・・行っちゃった」
あまりにも非現実な光景に合成と言われている
いくら説明してもそれが逆に怪しくなってしまう
この負の連鎖がずっと続き埋もれているのだ
「また合成と言われた・・・リアルなのに・・・そしてドロップなし・・・」
合成疑惑を指摘され傷心に追い打ちをかけるようにドロップなし
モンスターを倒すとモンスターに応じてアイテムを落とすのだが稀になにも落とさないとこがあるのだ
ちなみにミノタウロスの一般的なドロップ品はミノタウロス肉
厚切りステーキが絶品なのである、お値段100g10万円
「あーーーーーもう!!やめだやめ!帰って寝る!やってられるか!!」
「きゃーーーーーーー!!!!」
「なんだ!?」
突然の悲鳴に心が折れ不機嫌な翔を現実に戻す
「あっちか!待ってろ助けに行く!!」
いくら心が折れていても人を助けるのが男だと死んだじいちゃんが言ってた
全身に魔力を巡らせ爆発的な力を発生させる
蹴りだす地面を破壊し駆ける
これが翔がダンジョンで手に入れた力だ
そしてあまりにも非現実な光景を生み出す正体である
悲鳴が聞こえる方向にしばらく走っていると座りこんでいる女性と先ほどワンパンで仕留めたミノタウロスより一回り大きいミノタウロスが大斧を振り下ろそうとしていた
絶体絶命のピンチである
「オオオオラアアアア!!」
「ブモッ!?」
「え?」
猛スピードの勢いそのまま横からのドロップキック
哀れミノタウロスは吹き飛んで行った
「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
「え?あっありがとうございます?」
巨大なミノタウロスがいきなり吹き飛んで行ったことに驚き現実が受け入れられないのか脳が追い付いてない
「そこで休んでいてください。あいつを倒してくるんで」
「え!?いや一人じゃ無理ですよ!あれは普通のミノタウロスじゃないですよ!」
「いや、ただのでかいミノタウロスですよ。あのサイズは何回も倒してますし」
「何回も!?でも・・・危ない!!」
話してる間にミノタウロス(仮)が接近し翔の背中に向かって斧を振り下ろしていた
しかし
ガキン、ボキッ
「ブモッ!?」
「なんだよ、せっかく話してたのによー。せっかちなな男はモテねーぞ牛野郎」
体を強化し斧を受け止めるだけではなくへし折ってしまう
ありえない光景に言葉が出ない女性であった
「じゃあそんな生き急ぐやつはさっさと終わらせますかねえ!!」
ズドン
まるで大砲の発射音と間違うような大きな音をだしたのはミノタウロス(仮)に対しての右フックの鳩尾
強烈な一撃にミノタウロス(仮)は目に光を失い消えてしまった
「うそ・・・カイザータウロスが一撃なんて」
カイザータウロスは強靭な肉体と素早い動きで相手を殲滅するモンスター
セオリーだとチームでひたすら遠距離で近づけさせないのだが、それでも成功率は半々の狂戦士なのである
「それも武器も持たずになんて」
消えていくカイザータウロスの光に包まれる背中を見つめる女性の心は安心感と別のトキメキがあった
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