お疲れ様でした☕

悪女無双 登場人物一覧(後編)※第5章~エピローグまで

 ここでは本編に登場するメインキャラクターと、第5章から登場したキャラクターを、以下に紹介いたします。

 一部、紹介されないキャラクターもいる旨、ご了承下さい。


 また、この項目ではエピローグまでのネタバレ要素が多く含まれます。ご注意下さい。


――――――――――


<第5章>

小林こばやし壮一そういち

 転生/転移される悪女7人中、唯一の前世「男」。

 不動産会社の営業課に勤めていた。享年24。ブラック企業に入ってしまった後悔と自暴自棄でヤケ酒を帯びた帰りに、派手に転倒して縁石に頭をぶつけ死亡している。

 性格は一言でいうなら「陽キャ」。幼いころから「ソウちゃん」の愛称で親しまれ、人付き合いもある程度得意な方だと自負している。その経験が来世のソーニアで活かされており、物怖じしない気迫と営業で培った演技力を駆使し、復讐の布石を打っていった。



☆ソーニア・ティートリー

 タルタリヤ期を彷彿とさせる、中東チックな異世界で暮らす伯爵令嬢。

 前世のせいで一人称が「俺」になってしまっている。

 ゆるふわの赤毛に、同性も羨むほどの長身ナイスバディで、しかも顔のパーツが非常に整っている。転生/転移された悪女7人中、もっともルックスの偏差値が高い。

 公爵子息のスルマーンという婚約者がいる。その立場に恥じぬよう、常日頃から多忙で厳しい貴族教育を受けており、社交ダンスの腕も中々のもの。

 壮一が転生した時点では社交ダンスなんて無縁だったからか、のちのダンス失敗もあって教官からお叱りを受けてしまう。その時にベリアから授かった読心能力のコツを掴み、自分の立場を悪化させている悪党2人を特定。復讐のための布石を打っていった。

 前世は悪女になんてなりたくない! と息巻いていたが、復讐を成功させるために耐え続けてきた貴族教育が、今ではすっかり板について馴染んでしまった模様。


☆ヌール・シェリーメイ

 ソウちゃんをライバル視する侯爵令嬢。噂話と悪口が大好きな「塾のお茶会メンバー」を率いており、普段から羽扇子をよく持ち歩いている。

 ソウちゃんの「嘘の悪評」を広めている悪党の1人であり、理由は彼女の婚約者スルマーンを略奪するため。だがそれも、結局はもう1人の悪党が仕向けた「罠」と「差し金」に騙されての勘違いであった。

 自分にとって不都合な存在は、自身が雇った男達の体を使って社会的死に追い込ませるという、とても醜い事を企む。しかし咄嗟の演技は壊滅的であり、核心を突かれた時の嘘がとんでもなく下手。ソウちゃんからすれば、大した事のない小物女である。


☆アメリア・ティートリー

 娘を溺愛する伯爵で、母子家庭の貴婦人。ソーニアの事を「ソウちゃん」と呼ぶ事から、前世の壮一との共通点を見出し、ベリアがソーニアを転生先に選んだまである。

 その実体は娘を警戒させないよう溺愛しているフリをし、裏でソウちゃんの立場を悪化させていたもう1人の悪党であり、黒幕。理由はなんとスルマーンに見初められたソウちゃんへ向けた「醜い女の嫉妬」であり、自らの手を汚さぬよう、実の娘をも生き地獄に課すなら手段を択ばない冷酷非情な毒親である。

 その意図に気づいたソウちゃんの布石により、本来は娘がやられる予定だったならず者達からの暴力に、自分が捧げられてしまう。更にはその男達を雇ったヌールまでもが捕まり、完全に手札を失った自分の元へ、ソウちゃんが仕向けた罠だと思い知らされた。

 普段は遠方へ仕事に行っているため、滅多に伯爵邸には顔を出さないのだが、先の一件でさらに帰宅を拒むようになった模様。


――――――――――


<第6章>

鈴木すずきプリンセスレディ

 「ひめ」と書いて「プリンセスレディ」と読む、独特な名前の女の子。

 母子家庭で、母親から主にネグレクトの虐待を受けていた。食事はおろか、何日間も風呂に入れさせてもらえず、通いたい小学校にも通えずじまい。小学6年生。

 死因は栄養失調と低体温による虐待死。雪がふりしきるクリスマスの夜、怒った母親にベランダへ締め出され、そのまま寒さに凍えながら息を引き取った。最初に叶えたい願いが「母が良い人になって、再び学校に通って友達と遊べるようになりたい」だったほど、親の愛に飢えていた。



☆マチルダ・レイノルズ

 ウェスタン調の異世界で、炭鉱開拓の夫人として嫁いだ専業主婦。29歳にしては、若々しい表情とバイタリティをもつ金髪美女。

 エマという娘がいるのだが、本来のマチルダは実の娘に強い言葉をぶつけたり、虐待ともとれる躾をしてきた悪女として知られる。実際は夫ジョージと、義母からの悪質な扇動により、精神的に追い込まれてのエマへの八つ当たりであった。

 姫が転生してからは物質を変換する魔法(錬金術)を操り、それでエマに絵本をプレゼントしたところ、エマから「ママが天使になった」と嬉し泣き。ところが夫と義母がそれをよしとしない事に気づき、エマを連れて豪邸から逃走。道の途中でコンラッドに助けてもらい、結果レイノルズ家にいては危険だとして、ウィリアムズ家に保護される運びとなった。

 終盤、コンラッドからのプロポーズを受け、「マチルダ・ウィリアムズ」に改名している。


☆エマ・レイノルズ

 マチルダの幼い娘。もうすぐ5歳になる。普段は母親のことを「母上」といい、部屋の隅っこで肩を強張らせながら座り込むのが癖になっているほど、いつ飛んでくるか分からない母親からの虐待に怯えていた。

 姫が転生してからは、母親が優しい魔法使いになったことで「ママ」と呼び名を戻し、甘えてくれようになった。本を読むのが大好きで、空気の読める賢さが伺える。


☆ジョージ・レイノルズ

 マチルダの夫で、経営する炭鉱開拓の顧問。ファウンダー兼会長である父が亡き今、母親(マチルダの義母)が同社の相談役として従事し、親子揃って街の経済を牛耳っている。

 一見、仕事ができるように見えて、実は先住民の奴隷を無給で働かせては儲けを独り占めしていたという狡猾さ。プライベートにおいても、マチルダの実家の財産目当てによる結婚や不倫、後継ぎにならない女児の誕生を毛嫌い、更には母親との連携で妻に虐待の罪を擦り付けるのが常識という、まさに利己主義のマザコン。そうして自分達の富と名誉でなんでもできると思い込んでいたが、マチルダの魔法によって、その余裕は一気に覆った。

 最期はウィリアムズ家を含む街の平和のため、保安官によって母親もろとも射殺された。


☆コンラッド・ウィリアムズ

 鉄道会社社長の息子で、部屋着のまま娘を連れて逃げていたマチルダを保護した好青年。弱きを助け強きをくじく勇敢な一面をもち、ジョージから多額の慰謝料請求をちらつかれても、決してマチルダとエマを引き渡すことはなかった。

 マチルダの手から、二度も魔法が発動された瞬間を目撃している事から、マチルダに宿った魂が別人のものではないかと見抜く。のちにマチルダが打ち明けた前世と、転生の目的を信じたことで、ジョージ達親子を社会的に制裁するため保安官を説得。慰謝料の請求は無事に破棄された。

 終盤はエマの継父になる約束と、マチルダの普段の頑張りに惚れ、プロポーズしている。


☆保安官

 街の治安を守り、悪事を裁く裁判官のような立ち位置のガンマン。元は牧師をしていたが、本心では神の存在を信じていない「形だけの信仰」に疑問を抱き、退職。

 だがマチルダの魔法の存在によってその考えを改め、「神はきっと許して下さる」という懺悔のもと、ジョージとその母親を射殺。実は以前からレイノルズ親子の振る舞いには疑問を抱いていたのだが、金と権力を人質に取られていた事から、迂闊に反対できなかった。


――――――――――


<第7章>

西島にしじま智子ともこ

 極西会系西島組組長の令嬢で、大学生。享年20。

 生まれた頃から裏社会の強い立場にいたせいか、ベリアでさえ首を横に振るほどヒステリックでワガママ放題に育った。自分の思い通りにならないとすぐ激昂し、父親が娘のために貯金していた金庫を、舎弟を数人従わせて破壊。そこから大金を強奪した挙げ句、そのお金で友人数人と遊びに使っている途中で急性アルコール中毒にかかり、死亡している。

 そんな、誰もが組長令嬢という立場を前に怒れない現状を理解しようともせず、自分さえ良ければそれでいいという正に「リアル悪女」だったが、今回の転生を期に改心していく。



☆ピティエ・シャルロッテ・レザン

 剣と魔法の異世界にある小さな村で、王国の騎士団から派遣され偵察に回っている聖火騎士。炎のように外跳ねした黒髪と、どこか芋臭い少女の顔をしている。

 転生/転移された悪女7人中、もっとも高いフィジカル(戦闘能力)を有しており、ベリアから授けられた「未来予知」とは別に、既に本来のピティエには炎魔法を操る力が付与されている。その実力を買われ騎士になっただけでなく、村を突然襲ったドラゴンを一人で倒し、勇者と称されるまでの実績を手に入れた。だがその実績は自分ではなく、弟のオルセーに譲るべきだと言い出した父親と口論になり、のちに暗殺される未来が待ち構えていた。

 結局、未来予知のお陰で暗殺は免れ、計画を企てた弟と父親を制裁。しかし本来のピティエがお人好しであるゆえ智子が転生に選ばれたこと、また、智子の極道令嬢マウントがピティエの身体では通用しないという現実を思い知り、自らの行いを反省するに至った。


☆暗殺依頼を受けた男

 もとは善良な村の住民。ある日突然、謎の暗殺集団から「娘を売春宿に売り出されたくなければ従え」との脅しを受け、ピティエの暗殺に踏み切ろうとした。だが呆気なくピティエに食い止められ、逆に暗殺を企てたやつらのアジトへ案内するよう指示される。

 最初は暗殺さえすれば娘は助かり、元の平穏な生活に戻ると信じていたのだが、案内を進めていくうちに「それだけで組織は黙らない」ことを思い知らされる。娘を連れて家を出て正解だったという安堵と、黒幕たちの異常な動機と態度に激怒し、ついにはピティエの味方側に回るという改心ぶりをみせた。


☆オルセー・レザン

 ピティエの弟。屈強で魔法が使える聖火騎士の姉とは対照的に、本人は魔法どころか実績も何も有していない、親のすねかじりニート。

 「男」として生まれただけで甘やかされて育っており、「女」はどんなに頑張っても立場上「男」には従うべきだという思想の持ち主。故にピティエの事を普段から見下しており、ピティエが得てきた実績や称号は、親の考えよろしく自分に譲って当たり前だと思っていた。その言い分が通らないや否や、しまいにはピティエのお人好しな部分を利用し、彼女が信頼している村の住民にピティエ暗殺を依頼するという屑っぷりを発揮している。

 オルセーの親も親で、息子以上にピティエを産み育てた事を後悔しているという、信じられないような発言を吐露。その真意をピティエに問われ、「娘を早く殺すべきだった」と意のままに謝罪した結果、逆に連れの男達の怒りを買ったのであった。

 その後はオルセー含め、脅迫や殺人教唆など複数の容疑により、逮捕されている。


――――――――――


<最終章>

☆魔王ルシフェル

 地獄を統治する強大な悪魔で、ベリアの父。

 ヒトの何十倍も巨大な、背中に竜の翼を生やした鬼の巨人であり、高層ビルとほぼ同じくらいの高さを誇る(そもそも大きさの概念は決まっておらず、その気になれば幾らでも大きくなる)。その力は、ベリアの時間停止魔法をも通じないほど。

 天界の統治者である女神リリスを妻に持ち、2人の間にはミカとガウルという双子の息子がいたが、神々の戦争で2人とも喪った悲しみから、リリスを執拗に侮辱・拷問するようになった。その現状を見かねた、のちに生まれた娘ベリアが兄たちに負けじと鍛錬を積んだ結果、一時は妻への拷問も落ち着いたかと思われた。

 実情は未来永劫変わらぬ女性差別主義者であり、その性悪性が下界に伝播し、下界では常に理不尽な悪事が行われているのだとベリアの口から告げられている。天界からリリスを攫い、封印した張本人であり、「性」という概念を全て無に帰すという計画を企てていた。

 邪悪な力には、邪悪な力が有効だとして、覚醒したベリアが魔王討伐に立ち向かった。しかしそれは同時に、父ルシフェルも同じように邪悪な力を集める事が可能である事を示しており、徐々にベリアを圧倒していく。だがそこに悪女7人の加勢という予想外の展開が起こり、形勢が逆転したことで、最後はベリアのトドメで消滅していった。


☆女神リリス

 天界の統治者であり、ベリアの母。女神の名に相応しく、美しい人間の女性の姿。

 実はルシフェルと結ばれる前に、別の男性と婚姻関係を結んでいたのだが、ルシフェルに誘拐されたことで後に双子の息子ミカとガウルを授かっている。その息子達を神々の戦いで喪った悲しみを、なぜかルシフェルから自分一人だけのせいにされ、理不尽な拷問を受けてしまう。

 ベリアの鍛錬によって、やがて長き拷問から解放されるものの、ある日を境に再びルシフェルに捕らわれ、封印されてしまう。ベリアが今まで「ざまぁ展開」させていたのは、そこから放出された邪悪な力をかき集め、その力でルシフェルを倒し、母を救うためであった。

 どんなに理不尽な拷問を受けても、決して闇に染まる事のない天使。それがかえってルシフェルの不満を爆発させてしまったようだが、解放された最後は魔王の後を継ごうとしたベリアに「下界で自由に生きる権利」を与え、リリスは一人「天と地の天秤をかける神」として上界を統治すると宣言したのであった。


――――――――――


<エピローグ>

☆ベリア(下界での身分)

 天界の案内人を退任してからの彼女は、一見ごく普通の「人間」として、主に中世ヨーロッパ風の異世界を中心にバイト先を転々としている。

 身分上は、たとえば現実世界だとドイツ出身の16歳平民を自称しているが、その正体は何百年も天界で暮らしてきた天使と悪魔のハーフ。下界の様々な並行世界を行き来でき、炎属性の攻撃魔法や下界の時間停止など、その気になれば幾らでも敵を圧倒できる。

 (ただし過度に魔法を使うのは、父のように自らの俗世を失いかねないため、ネタバラシ以外では人前で披露・発現する事はない)

 父親の悪癖を見て育った影響により、男性が大の苦手である。相手と日常的な会話が出来なくはないものの、恋愛にはめっぽう疎く、自分に本物の恋など無縁だと思っている。

 魔王がいなくなった後も完全に「悪」が消え去ったわけではなく、誰かに転生/転移を任せる必要がなくなった今、ベリア自身が世の悪を制裁、つまり「ざまぁ展開」を起こしている。そこで集めた邪悪な力は、主に戦争や飢餓で苦しむ人たちを幸せにするための「願い」として使うという使命を、今日もどこかで果たしているのであった――。


――――――――――


 最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る