1
私の恋愛遍歴について語ろう。私にはかつて気になる先輩がいて、バレンタインにチョコを作ったり、ポエムを書いたり……いや、そんな過去は無かった。
仕方ない。私の高校でできた友達でも紹介しよう。……いなかった。
よし。私の自己紹介でもしよう。名前は
改めて自分を見つめ直すとなんと薄い内容だこと。でも他に何があるの?と聞かれても何も答えられない。うまく答えられなくて億劫になる。
で、ぼっちという属性はいわゆるアニメキャラやラノベキャラのぼっち属性とは決定的に異なる。それらのキャラクター達には物語の展開上、くだらない話で笑う友達はいるし、一緒に話す異性までいたりする。何かを成し遂げるための仲間までもいることもある。当たり前だ。そうでないと物語に起伏がなくなって面白い話・興味深い話にはなり得ない。
さて現実の他のぼっちさんはどうだろう?彼氏彼女はおらずとも話をする相手ならいる人は多い。いなくともネットでリプやDMを送り合う関係の人がいるだろう。
そして私はと言えばそれらが全てないのである。彼氏は言うまでもなく、くだらない話をする仲もいない。ネットに友達もいない。投稿してもいいねは0だし拡散もされない。リプもしない。そもそもそんなに投稿をしない。時たま、AIに話し相手になってもらい、的外れで生真面目な回答だけを得る。そんな日々。
かと言って全く話せない訳じゃない。店員にある程度の用件を伝えることは出来る。要はその程度。事務的関係と言うべきか、そんな関係であれば事務的内容を話すことは出来るのだが、どうにも私的関係を築くことができないのだ。
もしここがなんらかの面接会場なら趣味とか特技とか聞かれるだろう。いつもこの手の質問には困る。どれだけ努力しても、大した趣味も特技も見当たらない。
適当に音楽鑑賞なんて答えれば「何聴くの?○○って良い曲だよね」と言われるが、知ってる曲なんてベートーヴェンの運命とかホルストの木星とか。後、紫色のロボット的なものが使徒と戦うアニメの主題歌とか。もちろん流行りのJ-POPなんて全く知らないし、15秒の動画を上げる陽キャ御用達のSNSで流行ってる曲なんてなおさら。要は他人との話題になり得る音楽なんてほとんど聴かないのだ。
特技を聞かれても鉄棒の逆上がりができなくて体力テストは常に下位の私には何もない。むしろ私の特技になりそうなものを教えてほしい。強いて言うなら敵を作って自分の殻に閉じ籠り、相手を非難して嫌われることと言ったところか。
何も無いんじゃ死んでるのと同じじゃないかと思うと寂しくなる。「そんなこと考えないで勉強だけをしていれば成績が上がって誰もが幸せになれる」と私の理性は言う。
遠のいた意識が戻った時には、歳の頃40過ぎの英語教師はさっきまでとは全く違う箇所の解説をしていた。ノートに写せてない箇所は……もういいや。3時間目は集中しておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます