『シャーロキアン 流の研究室』より抜粋①
タバコ研究 No3
『メビウス』
言わずと知れた国産煙草の人気銘柄。シリーズ内の種類も多い。もともとはマイルドセブンという名前で、コンビニなどで注文するとき、客に『マイセン』とだけ言われて「マイセンのどれだよこの野郎」と店員さんの不興を買ったとかなんとか。それで客と店員の喧嘩があんまり頻繁に起こるので、番号指定で買うという習慣ができる原因になったとかなんとか。
僕は正直、この煙草にはあんまり思い入れがない。というのも、僕が好きなミステリー作品にはたぶん一度も登場していないからだ。単純に描写されていないだけで吸っている登場人物もいるとは思うけど、こればっかりはどうしようもない。
種類がすごく多いので、もしミステリーに出てくるならそのあたりがポイントになるかもしれない。こいつに関してはヴァン・ダインの二十則を無視できる気がする。なにせ自販機で見ただけでも18種類もあった。多いって!違いもたいしてわからんて!これの見分けができるのなら立派に煙草探偵を名乗って良い。ダイン御大も文句は言わないであろう。
今回は同一シリーズ内の種類が多すぎるので、たぶん人気があるだろうというものを2つ選んだ。なので前後編でお届け!まずは前編。それでは外観から……
<以下略>
タバコ研究 No6
『キャメル』
ミステリー好きのブログで煙草の研究記事をあげてて、この銘柄が出たら絶対に出さずにはいられない探偵がいる。それがレイモンド・チャンドラーが生み出したフィリップ・マーロウである!
僕はもちろんマーロウが大好きだ。有名なセリフとして「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きている価値がない」という言葉がよく引用されているが、どちらかというともっとさり気ない会話の中でちらりと光るものの方が好きだ。『長いお別れ』の冒頭のような……でもこれも知っている人からしたらだいぶんベタな選択のような気もするけど。
マーロウが活躍する物語では、いい場面でとにかく煙草が登場する。煙草を吸ったら自分もこんなセリフが言えるようになるのでは、なんて勘違いするほどである。「そのタバコに火を付けたら全て忘れるんだ……」言ってみてえ〜!
読んでいる限り明確な銘柄が出ることはないのだが、作中の描写や映像化されたものを見る限りではこのキャメルの両切りタイプで間違いないらしい。僕が検証したわけではないのでわからないが、もう世間的にはそうなってるものだからそうなんだろう。ちなみに両切りというのは、普通の煙草と違ってフィルタがついていない、煙草葉を包んだだけのものを言う。もちろん煙をガツンと吸うことになるので、味を感じる分健康にも大変悪いらしい。
このキャメル、もともと日本では高級な煙草として販売されていたがいつの間にか格安路線へ変更されてしまった。アメリカの兵隊さんに愛飲されていたため戦後の日本にも大量に入って来て、それがきっかけで安く販売されたのではないだろうか。
往年の両切りキャメルファンは現在販売されているフィルタ付きの煙草はあまり好きではないらしい。キャメルはトルコ製の葉っぱを使用していて、独特の濃ゆい味付けが特徴であるが、フィルターを通すと味が薄くなってしまう模様。真のスモーカーは海外版の両切りキャメルを個人輸入したり、国内のキャメルのフィルタを千切って無理やり両切りにして吸うとのこと。早死にするよ!おすすめしません!
ちなみに何度も言うが、僕は吸ったことはない。
では、まずは恒例のパッケージ外観から。もちろん国内販売されているフィルタ付きのもの。海外タバコは通販くらいしか入手ルートがないので、購入ハードルが高い!値段も!……
<以下略>
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