第2話 転生

「バーニングファイヤー!」

そう叫ぶと自分の右手から目標の木を燃やし尽くすほどの炎が出た。


(雑な世界だな)


この世界に来たとき、それが一番最初にこの世界に来た感想だ。


いわゆる、転生ものの小説に詳しかったわけではない。しかし、電車の広告書店に並ぶ表紙、あとはたまに深夜帯にやっているアニメでなんとなくのイメージはあった。

まるっきしこの世界はそれと同じだ、が。


(いくらなんでもこの世界は雑すぎるだろ)


「おめでとうございます。」

そばにいた使用人からハンカチを受け取り手のひらのすすを拭いた。

「ん。」

全く、この世界は物理法則を無視し過ぎている。ニュートンがこの世界に生まれていたらりんごが落ちる前にバーニングファイヤーしてアップルパイでも作っていたところだろう。

「これは今晩の晩餐会でお父様にご報告ですね。」

「晩餐会、ね。」

木をまるごと燃やした達成感が消えるほど、不快感が腹の底から湧いてくるのがわかった。




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