私ならスキル【念動力】はこう使う

るいす

第1話

現代にスキルというものとダンジョンが出現してから10年の月日がたった。


当初は一部の人が


「ステータスきたこれ」


だとか


「無双できる」


だとか言っていたが与えられるスキルは【剣術】等の戦闘スキルだけとは限らず【農業】等の職業スキルなどもあり、10年で就職はスキルありきでのものとなってしまった。


スキルは15歳になったときに授かり脳内に声が響くらしい。私、高橋 響は今日で15歳になる女子中学生だ。


ちなみにスキルが発生したことにより高校、大学に進学するものはほとんどいなくなった。その代わりにダンジョンでの戦闘を学ぶ学校やスキルの特性を研究する学校などができた。


ダンジョンを放置するとスタンピートという現象が発生するのは創作物のお約束通りで人口の少ない県等は魔物が闊歩する地域となってしまっている。


おっと。誰かに現状を説明している最中に午前0時を迎えたようだ。


「高橋 響はスキル【念動力】を獲得しました」


「??。念動力って戦闘スキル?」


私は呟いたが答えてくれる人はいない。私はいわゆる反抗期であり、両親がスキルを獲得する瞬間に立ち会うと言ってくれた。しかし、なにか気恥ずかしくなった私は


「明日の朝、報告するから」


と言って部屋に引きこもってしまった。


私はとりあえずスキルを使ってみることにした。


本棚から本を手元に運んでくるように意識してみると、本はカタカタと音を立てて本棚からすべり落ちた。


「最初はこんなものか」


スキルは使っていくうちに成長していくらしく、最初は火魔法であればマッチ程度の火しか発現できないと聞いていた。そのため私はそう落胆することなくその日は眠りについた。


次の日、朝起きて朝食を食べに向かうと、にやにやとした顔をしている両親の姿があった。


私は何が聞きたいのかを察して。


「念動力だったよ」


そういうと両親は私の今後を考えて朝から家族会議が始まった。


そんな両親を放っておいて私は学校へ向かった。


道中、知り合いからはスキルのことを何度も聞かれて学校に着くころにはうんざりしていた。だが、スキルによっては将来が決まってしまう世の中になってしまった今、教師にスキルのことを報告することは義務であり、私は職員室へ向かう。


担任の先生へスキルの報告を済ませると。


「念動力ねぇ。前例はあるのだけれど研究棟に進学したほうがよさそうね。魔法系統に属するのだろうけれど代償がはっきりしていないのよ」


という言葉を頂いた。剣士などの体を扱うスキルには体力を消耗するだけで済むのだが、魔法には魔力と言ったものはなく、代償という形で何らかの制約が付きまとう。


そうすることで連発を抑止しているのだろう。


こうして私は研究棟へ進学することが内々定するのであった。

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