異世界ぼっちでサバイバル は?

ろぶんすた=森

第1話 いや死ぬでしょ…

 何が起こったのかはっきりいってわからない。

 通学の途中、強風に煽られた砂埃が目に入り、目を閉じて開けたら別の場所に一人ポツンと突っ立っていた。


 生まれてこの方、小説で幾度となく読んだ状況…にしては、酷すぎる。持ち物に至っては財布と空の鞄だけという…。後の祭りだが、置き勉なんてするんじゃなかったと思う…。


 どこだよここぉぉぉぉお!


 目の前に広がる森にひとしきり愕然とした時に一つの事が思い浮かぶ。


 いや、死ぬでしょこれ…。


 ネイチャー系の番組や遭難者のドキュメンタリーを見ていて、水の確保が重要とか言われているが、正直素人に何ができるんだ。こちらはまだ、高校生だ…。


 目の前に広がる気持ち悪い森を前に一歩踏み出せない。しかし、背面に広がっているのは海、道は一つしかないのだ。


 こうなりゃやるしなかい。


 言葉を噛みながら、得体の知れない恐怖と命を天秤にかけて、森の中を進む決意を決めた。


 ポケットにあったこの場所では使えないであろう財布を捨てて、いざゆかん!と気分は冒険家を気取った。


 熱帯地方かと思わせるその森は今まで見たことのない木々、草花が鬱蒼としていた。


 気持ち悪いな…。アウトドア派じゃないんだよ…、芝生の上で寝るのとかも気持ち悪くて出来んのに…。ピクニックのレジャーシート引いても嫌なのに。


 独り言が勝手に口から止めどなく溢れる。しかし、そんな軽口を叩けていたのも時間の問題であった。


 水源の確保…水源の確保…。


 そんな目標を呟きながらかれこれ獣道を30分は歩いている。肌に当たる草は気持ち悪い…。蚊やヒルのような吸血してくるような輩はいないのが唯一の救いだ。


 水の音が聞こえる…。


 この時にはもう私はおかしくなってきていた…。水の音なんてわかるはずがないのだ…。しかし、妄執に囚われた私の足は勝手に進む。


 水、水、水…。


 森の切れ目が見える、森ともおさらばだ!そんなことを考えながら疲れた足を前に前に進める。


 ちくしょう!!!ただ迷って元いた海に戻ってきただけじゃねぇか!


 目の前に広がる海…。そして、置いて行った財布を手に取り、広がる海に投げつけた。

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