第3-6話:女神の星


「データはの中から、航宙図を見つけたんです。

 『惑星テロン』が、彼らの本拠地です!

 テロンから見た星座の情報もあって、これで惑星の位置も特定できました!」


「つまり、あいつらの星が分かったってことか!」

「お手柄だね、情報軍。

 でもこれは、埠頭を見学に行った、タカフミの功績かな」

「よく考えたら、謎解きしたのってカサンドラなんだろ?」

 皆があまり褒めてくれないので、マルガリータは不満そうに頬を膨らませた。


「よし。テロンに行くぞ」

 マリウスがそわそわしだした。戦いの予感に高揚している。

 味覚にも嗅覚にも、喜びを感じられないマリウスにとって、この高揚感は麻薬のような力を持っていた。


「殲滅しに行くんじゃないですからね!

 拠点を突き止めて、二度と悪さしないように、『説得』しに行くんですよ!」

 マルガリータが念を押す。


 マリウスは、今すぐテロンに行きたい様子だったが、

 箱からもっと情報を集めて、作戦もちゃんと立てる必要がある。

 半舷上陸の右舷側にも、休暇を取らせてから、出発することになった。


          **


 3日後。全隊員が乗艦し、惑星テロンへのワープ準備が進む。

 そこに、ジョセフィーヌから通話が入った。


「輸送コンテナ略奪の通報が入った」

「海賊の取り締まりは、別部隊の仕事です」

「そうだ。だが、その現場が、テロンのすぐそばの駅なんだ」

「つまり、テロン人が略奪を行っていると?」

「その可能性が高い。

 放置してテロンに向かうと、背後から攻撃される恐れがある」

「ではまず、略奪を止めに行く」


 マリウスは、ワープ先の変更を決断した。惑星テロンではなく、その近隣、「駅」のある恒星系に赴く。


「ところで、マルガリータを、取り締まりに参加させてくれないか?」

「目的は?」

「現場で臨検を行う。

 いきなり攻撃する訳には、いかないのでな」


 まずは、輸送コンテナが「星の人」の物だということを説明して、略奪しないように言い聞かせる。こういう交渉は、情報軍の仕事なのだ。


「荒っぽい仕事になる。通常の宇宙服では厳しい。

 マルガリータは『鎧』を持っているか?」

「持ってないので、私のを貸します」


 タカフミはステファンに、これから行く駅のことを聞く。

「40-241698駅だよ」

「覚えにくいですね」

「呼び名が欲しいね、『地球駅』みたいな。何か妙案はあるかい?」

「そうですね・・・

 じゃあ、女神のような人形を残していったので、『女神の星』というのは?」

「いいね。『目標2』とか『敵拠点近傍』なんかより、はるかに気が利いている」


 マリウスは、「女神の星」駅からの通報を元に、艦隊の移動経路を定めた。

「砲艦タキトゥスはここで待機。キスリングとエスリリスの2艦で行く」


 ワープゲートが形成される。

 無人の前哨がワープゲートに突入。

 1分後、キスリング、次いでエスリリスがジャンプした。

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