前置き:皇帝と悪魔の対話

 陛下、このたびの内乱鎮圧、祝着に存じます。

 予断を許さぬことはまだありましょうが、ひとまずは安堵、といったところでしょうか。

 ……陛下はあまり楽しそうではありませんな。

 それも仕方がありませんか……謀反には皇弟殿下と皇妃さまが関わっていたわけですからな……

 ああ、申し訳ございません、独り言でございますればご容赦のほど。

 過ぎたことは仕様もございませんゆえ、次のことを考えるべきでございましょうな。

 もちろん、考えている、と。

 新妃さまでいらっしゃいますね?

 こちらの国の方をめとられるとか。

 たしかこちらの国との戦争が始まって、早々に陛下に与した侯爵家のご令嬢だとか。

 お年の頃は十七歳……陛下のお歳の三分の一ほどでございますか。結構なことでございますが、また物入りなことでございますな。

 ああ、このたびのことは塩税の収入でなんとかなると。それは重畳でございます。不測の事態にも対応できるだけの税収が確保されていると、私も頑張った甲斐があるというものです。

(塩税については『ファンタジー世界で税金を徴収する方法 塩税ほか』をご参照ください。

https://kakuyomu.jp/works/16817330650197899188 )

 問題はそこではなく、街道の敷設、港の工事に加え、新しい城がひとつお入り用と……ああ、いまお住まいのこちらの城は陛下の施策による新しい街道などの目処が付けば、場所的に不便になりますからな。

 で、そちらのほうをこの【課税の悪魔】であるところの私の知恵でなんとかせよと……ようございます。

 それではこのたびは賦役についてお話ししようと思いますよ。

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