DREAMS COME TRUE 夢*幻の世界へ

tamaちゃん

第1話 夢の世界


  

 ”ビリビリビリ” ”プ-プ-プ-” ”ビリビリビリ” ”プツン” ”プツン” ”プツン”ガガガ————ッ!

「あれ~?ここは……ここは……どこ?」


 気を失っていた花園澪(はなぞのみお)が目を覚ました世界は、いつもの世界と全く違う西洋風の宮殿らしい。ここはどこなのだろうか、花々が咲き誇り美しい自然豊かな森の中だが、大広間に目をやると、何とも重厚感漂う品位あふれる宮殿の大広間だが、何故こんな所に?


 どうも……澪は宮殿の大広間に倒れていたようだ。

 

 その時だ。宮殿の使用人たちが慌ただしく右往左往している。


 ”ドタドタ” ”バタバタ” ”ドタドタ” ”バタバタ”


(何か騒がしい様子だが?西洋風の宮殿だという事だけは分かるのだが……)

 とうとう思い余った澪は、余りにも異常な現実に危険も顧みず、使用人の一人に今の現状を恐る恐る聞いてみた。


「嗚呼……ここは……どこですか?」


「何を言っておいでですか?ここはリンドーレティス王国の王宮です。マーガレット姫お気をしっかりと……お気持ちは分かりますが……しっかりなさって下さい」


「一体どういう事よ?」


「女王様が……女王様が……毒を盛られて生死の境を彷徨っておいでです。早く女王様の元へ!」


「嗚呼……それはそうだ。急がなくては……」

 

 母上様といっても……私は孤児院で育った身の上……母親などいる筈もないのだが、それでも…使用人に促されて臨終の母親と称される人の元に急ぐ澪。


 どうも…リンドーレティス王国のマーガレット姫と澪が瓜二つらしいのだが、一体どういう事?


 まぁその理由は追々紐解かれて行く事になる。


「マライア……ウウウッ( ノД`)シクシク…何故?何故?こんな事に……こんな事に……😭ワァ~~ン😭ワァ~~ン😭」マイケル王が泣き叫んでいる。


「エエエェェエエエエッ!全く現状がつかめない?」


 何故こんな事になってしまったのか?



 

 実は…どうも……過去の因縁が現在まで尾を引いているようなのだが、それでは何故こんな凄惨な事件が起こってしまったのか?それを紐解いて行かねばならない。


 マーガレット姫の父であるマイケル王は、過去にとんでもない過ちを犯していた。それは当時まだ皇太子だったマイケルだったが、隣国のローラ姫との許嫁契約が交わされていたのだが、伯爵家の姫だったこの国一の美貌を誇るマライア姫と、強引に婚儀を交わしてしまった。


 当然王様も大反対だったが、それを振り切って強引にマライア姫と結婚したのだった。両殿下にしたら隣国の姫と結婚させて、この国をより盤石な王国にしたい。そればかりだった。好きもへったくれも無い。この国を守り、より巨大な王国にする事が何よりも大切な事。


 だが、両殿下の意に反してマイケル皇太子はこう言い放った。

「マライア姫と結婚できなかったら王族を離脱いたします」


 元々一度口に出したら頑として信念を曲げない王子だということを、嫌と言う程知っていた両殿下は泣く泣く承諾した。


 だが、それを良しとしなかったローラ姫の恨みは、消え失せるどころか益々嫉妬の炎は燃え盛るばかり、結局もう四十歳を優に超えていると言うのに、未だマイケル王の事が忘れられなく独身の身の上。


「あのマライアが許せぬ!あの美しい顔を醜くしてくれるわ。私が味わった屈辱を思い知らせてやりたいウッフッフッフ!今に見ておれ!フッフッフ」


 そして…リンドーレティス城にスパイを送り込み、マライア女王暗殺を企てたのだった。


 ある時は硫酸を女王様の美しい顔を目掛けてぶっかけさせたり、またある時は暗殺を試みたりしていたが、どれも叶わず現在に至っていたが、今度こそ女王様に命の危機が……。

 

 本来ならば死の淵に有るマライア女王の状況からして、マライア女王が死して異世界転生するという事は十分考えられるが、それが……どういう訳かマーガレット姫が、異世界転生してしまった?


 いやいや……引っかかる?ってことは……マーガレット姫と澪は瓜二つだが、全くの赤の他人なのだろうか?


「アレ――――――――――ッ!一体どういう事?」


      ◇◇


 花園澪(みお)十七歳は現在SOTA(芸術の始まり)所属の日本屈指のアイドルグループ「ムーン✰シスターズ」のセンタ―を務める美少女だ。だが……こんなに品位の備わった美少女にも拘らず、養護施設で育った苦労人。


 華やかで、どことなく陰のあるスレンダ—かつ、どこか愁いを含んだこの美少女はとてもじゃないが、こんな薄汚い寂れた「あけぼの学園」で育ったとは到底思えない品位の備わった美少女だ。


 

     **


 遡る事一年前のある日の事だ。

 養護施設の友達と、古くから施設の子を雇ってくれているラーメン店にアルバイトに向かっていた。


 すると、養護施設を出てチョットの所から何か……感じる視線に、何だろうと思いながら歩いていると、意味有り気な男がきょろきょろしながら付かず離れずズ~ッとついて来る事に、友達とキャ-キャ-言いながら逃げ惑っていたが、暫くするとまたしてもふ~っと後ろの方を付いて来るのであった。


 それでも逃げて逃げて何とか駅の入り口に差し掛かったと、その時その意味有り気な男がいきなり声を掛けて来た。


「ハアハア………あの~?実は……あの~?実は……私はこういう者です」そう言って名刺を渡してくれた。



 後ろから付けて来た男は五十代前半の芸能プロダクションの社長だった。以前から凄い綺麗な子が荒川区の某ラ-メン店にいると聞きつけていた社長が、直々に出向いて調査していた。


 要は人の噂程当てにならないものはない。そのためには自分のこの目で確かめて見ようという事になった。そして…やはり噂にたがわぬ美少女だった。

(これだけの美少女、どこを探しても見当たらない)


 

 こうしてアイドルとして僅か一年でアイドルのトップに君臨する事になった。

 他の三人は地下アイドルとして地道に活動していたが、目が出ず諦めかけていた時に同じ事務所の社長に拾って貰った。


 当然澪と地下アイドル三人組とは、実力面で大きな開きがある。それなのに他の三人を差し置いて、この澪がセンタ―を務める事となった。


 それは言うまでもない。澪は身長も168㎝手足が長く小顔のモデル体型にして、顔は美人の基準を正確に物差しで測ったほどの端正で華やかな顔。あとの三人との差は歴然。


 まだデビュ-して一年と短いにも関わらずアリ―ナ公演の話が持ち上がり練習に明け暮れていたが、或る日いつものように公演に向けて練習を重ねていた時だった。最上階の階段からダンスを踊りながら下りるシ―ンだったのだが、裏から最上階まで登り付いた丁度その時だった。後ろから誰かの手によって押され階下に落ちてしまった。


『ボ——ン!』


「実力もないくせに……澪がいつも人気を独り占めして……誰のおかげでそんな良い思い出来ていると思っているの?私の歌唱力と他のメンバーのダンスの実力のお陰でしょう。澪だけが人気を独り占めしちゃって……許せない!」



    ◇◇

 

 気が付くと澪は現実とは程遠い世界に辿り着いてしまった。

(一体ここはどこ?ここは夢の世界なのだろうか?)


 宇宙には我々が住んでいる太陽系外の惑星も多く存在する。更には太陽とよく似た惑星も存在する

 

 ここは……ここは……一体どこなの……?夕日なのだろうか?空には赤々と燃えたぎった惑星が目に飛び込んで来た。これは絶対に太陽とは違う。そして…辺り一帯は何とも美しいオレンジがどこまでも広がっている。海のさざ波までもがオレンジ色に光り輝いている。


 余りの美しさに暫く見入っていると、その沸々と煮えたぎった惑星はやがて姿を変え燃え尽きて、黒と赤のまだら状態となり沈下するかと思いきや、どういう訳か、赤々と煮えたぎった状態の場所が一層勢いを増し、さっきまでの美しさは消え失せて、恐ろしいまでの不気味さで迫ってきた。

  

 そう思って下の方に目を向けると…更に恐ろしい断崖絶壁が見えて来た。

 だが、それとは裏腹にやけに陽気な生物たちが空にプカプカ浮いている。猫やリスや犬に似た動物だろうか、更には人間の子供達らしきものが、カラフルな赤や黄色に紫のシャボン玉?風船?の中に入り笑顔でプカプカ浮いている。生物たちは誰もかれも生き生きと、この世界を謳歌しているように見えた。


 暫く経つと空が一瞬で暗闇におおわれ恐ろしいまでの静寂が訪れた。だが、それは一瞬で、その時大きな青い光線がピカリと光り輝きどこまでも広がり、やがて西の空には球体のブル―に紺色のしま模様の惑星が薄っすら顔を出してきた。


 そして赤い花火のような惑星が南の空に散らばった。この惑星は花火銀河と呼ぶらしい。


 安心したのも束の間、恐ろしいヤリのようなトゲトゲした断崖絶壁から深い谷底を下って行くと、その漫勉の笑顔とは裏腹に、ギラリと鋭い目付きの恐ろしい魔界の魔女なのだろうか?杖を付いた恐ろしい姿の魔女がとらえられたが、一瞬で谷底に消えた。


「グワッ!グワ————ッハッハッハ———ッ!」     

      


 有難うございます!この度は本作を御目に留めて下さり嬉しい限りでございます。もし少しでも気に入って頂けたら作品♡★フォローをお願いします!

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