蛇苺

摂氏七十度

出会い

私がちょうど、カフェから出るときに彼は私のハンカチを拾ってくれました。彼は絵に描いたような美男子でありながら、ゴツゴツとした手を差し伸べたのです。

「落としましたよ。」

撫でる優しい声に私は途方に暮れるような乙女心を抱きました。

「では。」

颯爽と何処かへ行ってしまう彼をどうしても引き止めたくて、つっかえながら言いました。

「あの。御名前は。」

彼は答えました。

「私は大久保満という者です。」

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