オープニング⑤

シーン⑤:死んだ筈の少女


GM:では桜。三年前の、美香が転校した直後くらいの場面。キミには君にはもう一人、幼馴染みが居た。桜井若歌という少女だ。どれぐらい仲良かったかっていうと、学校帰りによく君と美香と若歌の三人で駄菓子屋寄ってアイス分けっこするくらいには仲良かった。

桜:まぁまぁ仲良し。

GM:で、君達はすれ違うピカピカの制服を着た高校生達を横目に話していた。


若歌:あれN高の新入生かな、私あそこ通いたいんだよね。あの制服大好きなんだあ。

桜:ふぅん?

若歌:高校生になったら、部活入って帰りにハンバーガー屋さんで買い食いしたりするのかなあ。

桜:(今とたいして変わんなくね?)

若歌:いいよねぇ、そういうの憧れちゃう。

桜:お前はまず受験勉強からじゃね?

若歌:言ったなー!?まぁ良いや。桜はさぁ、高校でやりたい部活とか有る?

桜:ガンプラバトル部とかですかね。(一同爆笑)


GM:え!?この世界プラフスキー粒子実用化されてんの!?(爆笑)

桜:無いなら無いでジョークってことで一つ。

GM:あぁそういう。ビックリしたぁ…(笑)


若歌:おお、いいじゃん応援してるよ。(棒)

桜:心にもねぇ…(笑)

若歌:さて、今日は兄さんの誕生日。帰ったら美味しい料理でも作ってあげるかなー。

桜:そうか。お兄さんにおめでとうって言っといてくれるか。

若歌:かしこまりー。じゃあ桜、また明日!

桜:おー、またな。


GM:しかしいつまでも続く筈の『また明日』はこの日、途絶えた。君と別れた少し後に、若歌は信号を無視して突っ込んできたトラックによって、壁に大きな赤い花だけを残し、この世を去ったのだ。


日和:うへぇ…

美遊:GM、その描写要りましたぁ?

桜:俺、それからしばらく荒れたんだよなぁ…


GM:さて、そんなこんなで現在。そんなこんなを思い出して若干ブルーになりつつ、N高に編入した美香を案内がてら連れだって散歩してるとだね。


美香:やー、この道懐かしいなぁ…よく若歌と一緒に三人で帰ったよねぇ…

桜:…この先の駄菓子屋でよくアイス買って帰って、夕飯入らなくて三家庭合同説教とか有ったなぁ。

美香:そうそう!桜はケロっとした顔で夕飯も食べてたから中々バレなかったのに、私たちが食べられなくて結局一緒に怒られたり!

桜:懐かしいな。

美香:若歌って今何してんの?N高行くって言ってなかった?…もしかして学力足りなかった!?

桜:あー…お前が転校してすぐ、交通事故で身罷られてな…

美香:あー…その、ゴメン…


GM:君たち二人の間に気まずい沈黙が流れたその時、いつもの…三年前ではいつものだった駄菓子屋の店先のアイスケースを興味深そうに覗き込んでいる、中学の制服に身を包んだ若歌の姿があった…


美香:ねぇ、桜…さっきのって、質の悪い冗談って訳じゃないんだよね…?

桜:…その筈だ。

美香:じゃあ、アレ…誰?


店主:おやぁ、お嬢ちゃん、久しぶりだねぇ。アイス居るかい?好きなの選びなね。

若歌?:え!本当ですか!?うーん、どれが良いかなー!


GM:では店主のお婆ちゃんが、桜を見つけると齢80を超えてるとは思えない健脚で、桜の方にダッシュして小声に質問してくる。(一同笑)


店主:さく坊、あのお嬢ちゃん、たしか事故で!?

桜:あぁ、うん。婆ちゃんよく覚えてんね。

店主:わし、気付かない内にポックリいった?(一同爆笑)

桜:その年であんだけ勢い良くダッシュ出来るなら100まで生きると思うよ?(笑)

店主:そう?まぁ、良いわ。あらそっちのお嬢ちゃんも久しぶり!三人久しぶりに揃ったのね!サービス、好きなの一個持ってきなさい!

桜:え、良いの?ありがとう。(一同笑)

美香:桜ー?今はアイス選ぶ場合じゃなくない?(笑)

桜:おっと、そうだった…若歌、で良いんだよな?

若歌?:え?君だれ?私の事知ってるの?

桜:覚えて、ないのか?

若歌?:なーんも覚えてないんだよね。気付いたらこの川沿いを歩いてて…んん?や、待って…君たち見覚えがあるぞ?…もしかして、桜と美香ちゃん?

桜:あぁ…

若歌?:わぁ!桜と美香ちゃんだ!しかも高校生になってる!どうして?いつの間に大人になったの?

桜:お前、三年前のままなのか?

若歌?:ねえ、私の事、わかる?私って誰?

桜:桜井…若歌…

若歌?:桜井若歌かぁ…いいじゃん、素敵な名前だよ!

桜:お前、なんで生きてる…だって事故で…まさかオーヴァードに?こんな時間差で?

若歌?:失礼な!生きてるよ!足だってほら、生足魅惑のマーメイドだよ!(一同笑)

桜:あぁ…この微妙に古いワードセンス…本当にお前なんだな…

若歌?:どこで確信してるんだよう!で?私の質問答えてもらってないよ?

桜:三年も経ちゃ嫌でも老ける。

若歌?:三年?…そうか、三年も経ってるのか…街並みとか変わっちゃってるんだろうなぁ…

桜:とりあえず、お前行くとことか有るのか?無いならちょっと付き合え。

若歌?:行くところ…あ、私、自分の家もわかんないや。どうしよう!?

桜:良いからちょっと来い…婆さん!アイス本当に良いの?

店主:(サムズアップ)

桜:俺コーヒーのパピコ。

美香:私雪見だいふくにしよ。若歌はダブルソーダで良い?三人で分けながら行こう。

若歌?:え?え?


GM:では君たちが支部に向かうその時、支部から協力要請が入る。ちょうど良い。若歌?の事も相談出来るだろう。君たちは支部に向かった、というところでシーン終了。


日和:それにしてもN市のご老人方、ちょっとデスジョーク好き過ぎない?(笑)

桜:老人なんてどこもそんなだろ。

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