Memorial Blossom

オープニング①

シーン①:桜の咲く頃に



GM:さて、既に本編始まる前から不憫系の臭いが漂う桜くん、君はふと、三年前に離ればなれになった幼馴染み、水城美香の事を思い出す。そういえばあの日美香に連れ出された日もこんな風に桜が咲いていたな、と。


…はい、ハンドアウト。(一同爆笑)


桜:せめて本編始まる前に寄越せや。(笑)

GM:(無視して)君は美香に連れ出されて二人きりで夜桜を見に来ていた。この辺で有名なその“桜の主”と呼ばれる大樹は、一般的な桜の五倍は有ろう太さの幹と枝に、数年振りに見事な桜の…君の名と同じ花を満開にしていた。


美香:良かった、今年は咲いてくれた…去年も一昨年も咲かなかったから、最後まで桜の主が花をつけるの、見られないかと思ってたから

桜:最後?

美香:私、明日引っ越すんだー…地方だから、簡単には会えなくなるね。

桜:何で今日の今日まで言わなかったんだ…餞別の一つも見繕ったろ…

美香:湿っぽくなるのヤだったからさ、何だか言いそびれちゃって。ただ、桜に言わないで行くのは、違うかなって…

桜:え?

美香:桜と“主”に、最後にお別れ出来て良かった。


桜:あー、GM?俺、何かアクセサリーとか着けてない?

日和:もっとシルバー巻くとかさ!(一同笑)

桜:言うと思ったけど。(笑)

GM:えー、まぁ桜の服装とかGMは聞いてないんで、桜が着けてるったら着けてます。

桜:うむ。ではネックレスなぞ。取り外して突き付けます。


桜:餞別代わりだ。やる。趣味じゃなかったら質屋にでも流せ。


GM:美香は呆れた様な目で君を見ます。


美香:そこは黙って着けてくれるとかさぁ…というより、私が桜から貰ったもの、大切にしないみたいに言われるの普通に癪なんだけど。

桜:ん、悪い。

美香:ううん、ありがとう桜。私今日の事、絶対忘れない!


GM:さて回想から戻って現在。

桜:キザったらしい事したァ…ガラじゃねぇ…って頭抱えます。(一同爆笑)

GM:君は下校中懐かしく、同時に死にたくなりながらなんとなく桜の主を見に来たんですが…何か枝の上に見たこと有る女が座ってる。

桜:桜の木ってケガや病気に滅茶苦茶弱いんだから枝に乗るとかすんなや、って見上げたらめっちゃ知った顔。(一同笑)

GM:見違えるほど美人になったけど、見間違える筈もない、三年間メールの一つも寄越さなかった幼馴染みの美香ちゃんです。

桜:では声を掛けます。…何やってんだミカァ!(一同爆笑)

GM:では「うひゃい!?すいません!?」と言いながら驚いた美香はそのまま姿勢を崩して下の生垣に落下します。


美香:いったたた…もう何ぃ?…え、もしかして桜!?久しぶりじゃない!

桜:おう、連絡の一つも寄越さなかったお陰でだいたい三年振りだな。(一同笑)

美香:ゴメンて。(笑)

桜:まぁ良いけど…

美香:にしても懐かしいねぇ…ねえねえ、三年前の事覚えてる?あの時の主、キレイだったなぁ…

桜:(わざとらしい程イケボで)…お前の方が、綺麗だったぜ…!?(一同爆笑)

美香:えー?そんな事言う桜、なんか嫌だなぁ。いつからイタリア人になったの君は?

桜:おや、知りませんでしたか。初めまして、イタリアン・パス太郎です。ナマステー!(一同爆笑)

美香:知らないよ、誰だよ、何人だよ。(笑)


美遊PL:おぉ、凄い。ちゃんと幼馴染みっぽい。

日和PL:私らも学生時代ああいう益体もない話してたなぁ…(しみじみと)


美香:聞いたんだけどさ、桜の主って、あの年から花を咲かせてないんだってね…

桜:というか翌日の夕方には雨で散ってたな。(一同笑)

美香:思い出の木だからなぁ…桜流しを風情だって思える程、大人にはなれないなぁ…

桜:またいつ咲くか、わからないからな。

美香:そうだね…もう一度、もう一度だけ見る事が出来たら…私はそれで…ッ!

桜:何だって?(一同爆笑)


GM:いちいち反応が桐生ちゃん。(笑)

桜:え?

日和:何だと?

美遊:どういう事だ!

GM:わかったから。すると美香の方からケータイの着信音が聞こえる。


美香:もしもし…はい、わかりました…ゴメン桜、用事入っちゃった。もう行くね。

桜:ん?おう。


GM:では会話が打ち切られたのを確認した君が“主”に視線を戻すと不意に美香の声が耳に入る。


美香:…桜、すぐに家族と一緒にこの街を出て…


桜:おいそれはどういう…!?首が取れんばかりに振り向くぞ!?

GM:君が振り返った場所には、もう彼女の後ろ姿すらない。

桜:ここしばらくの事件を思い起こして、凄いヤな予感を感じます。

GM:…ふむ。では〈知覚〉技能か〈RC〉技能で判定してください。目標値は8。

桜:あぁん?元シナリオにこんな所で判定有ったっけ?

日和:ブラフか?

GM:はよ振れ。(笑)

桜:えっと、RCで…うぇあ!?クリティカルで20!?

GM:では君は今、妙に腹が減っていますね。極上のカレーを目にした時の様に、『今』、減ったのだとわかって良い。このシーンは終了です。

桜:うわぁ…ウロボロス的にヤな予感しかしない…まさかな…って呟いて退場します。

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