第32話 図面武闘会 すごろく対決

 シルヴィアとドゥーさんによる、図面武闘会の日がやってきた。


「お待たせしましたのう」


「おおおおお!」


 大会に向けて、シルヴィアは着物で参戦する。肩を露出して、胸はサラシを巻いていた。いつもの陽気なギャルっぽさを、今回は消している。それくらい、今日の結果にかけているのだろう。


 今日の武闘会は、オレやユーニャさんも参加していいらしい。いいのか?


「逃げんと、ようきてくれたのう」


「そっちがここに、来たんじゃろうが。そりゃあ逃げんわい」


「細かいことはええ。ルールは簡単じゃ。プレイするんは遺跡ダンジョンにマスを作ったスゴロク。ホンマはもっと本格的なんじゃが、簡易版で勘弁しといたる」


 ダンジョンの床には、マス状のパネルを置いてある。


「サイコロは、あんたらはアプリでもええ。せやけどワシらは、これでいこうやないか」


 ドゥーさんが用意したのは、壺振り型のドローンだ。賭博映画で見たことがある。ドローンと言っても、ちっさいガーゴイルが支えていた。安定性は、抜群である。


「望むところじゃ。後で泣くなやジジイ」


「じゃかあっしゃい。ほな、誰からいくか、きめようやないか」


 四人でサイコロを振って、出目の大きい人が先行となった。


「さっそくワシからや。一二の半」


 スゴロクには、六面ダイスを二つ使う。


「おお、スライムを倒して、薬草をゲットじゃ」


 続いて、シルヴィアの番だ。


「四か。ムカデを潰して、銅の剣ゲットじゃ」


 三番手は、ユーニャさんである。


「六だわ! あーん、泥沼にハマって、一〇ゴールド失ったわ」


 その代わり、ドロのニオイで次の戦闘が免除されることになった。


 最後はオレだ。一とは、幸先悪い。


「カズヤさん、薬草取りの女の子を助けて、ポーションゲットじゃ。ついでに女の子のハートもゲットしてもうたな」


 女性のハーバリストが仲間になった。


「おう。そうだな」


 一応、このスゴロクのプレイヤーは、全員男性となっている。


「たらしですわ。カズヤさん」


「うむ。たらしだな」


 アンネローゼとドロリィス、ひどくない?


「よっしゃ。中ボスを撃破して、島を脱出じゃ」


「こっちは、土地の名産がバズって大儲けしたでな」


 おじさんとシルヴィアは、もはや別ゲーを楽しんでいた。かたや正統派ファンタージなのに対し、シルヴィアは土地を買い取って金を稼ぐ。止まったマスの言う通りに動いているはずなのに。


 一方ユーニャさんは、ポンコツながら勇者らしく街の平和を守っている。しかし、順位はドベだ。


 オレはと言うと……。


「カズヤさん、カジノのバニーさんを荒くれから助けて、惚れられてます!」


「やっぱりたらし」


 フィーラとシノブも、やっぱりひどくない?

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