金子と木村
neco
第1話 オムライスのきみ
カランコロンと。
入店を知らせる鐘が鳴る。
開店と同時。
この時間に来るお客さんは決まってる。
頼む、メニューも。
「オムライス、ひとつ」
もう2週も連続だ。
彼女は欠かさずオムライスを頼み。
喜びか、落胆かの表情を浮かべる。
今日は、どっちだろうか。
いつになったらその謎が解かれるのか。
ホールのわたしは、慣れた手つきで配膳する。
素知らぬ顔でチラ見する。
オムライスを、ほおばる彼女を。
「ふんす!ふんす!」
どうやら今日は喜びの日であるみたい。
満面の笑み、ただそれ以上に鼻息が荒い。
備え付けのパセリが宙を舞う。
片付けるべくテーブルへと向かう途中。
ふと、彼女と眼があった。
不思議だ。
いつもと同じオムライス。
澄んだブルーの瞳。
味も同じなはず。
アッシュブロンドのゆるふわボブ。
この謎の答えはいつ——。
「しぇっ…!」
「しぇ?」
突然の声。
パセリから顔を上げながら、聞き返す。
顔が、驚くほど真っ赤だ。
「しぇふをっ!よんっ…で、くださぃ…」
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