第6話 秘密の打ち明け

雪菜が起きてから、光雪は考えていた事、泣いていた理由を話し始めた。


「雪菜には、話しておこうと思ってたんだけど、俺には『英雄は学園へ』の光雪としての記憶があり、さっき見せたように【魔法】も使えるんだよね」


そこで雪菜は話を止め、光雪に疑問をぶつけるので、光雪は質問に答え、話を続けた。


「その記憶って、初めからじゃいよね?いつ思い出したの?」


「昨日買った最終巻、26巻で光雪の大切な人が亡くなるんだけど、そこを読んだらいきなり、頭に激しい痛みを感じて、思い出したんだよね、その後にまた頭痛を起こし【魔法】が使えるようになってたんだよ」


その話を聞き、雪菜は何も言葉が出て来なかった。


「それで、涙の理由なんだけど今日、学校に行くと、大切な人が話し掛けて来たんだよね、その人は雪菜と同じで、学園の三大美少女って言われてるんだけど、誰か分かるか?」


そこで雪菜は考える、確か学園の三大美少女は1学年に1人ずつ居て、3年生が生徒会長さん、1年生が雪菜、だが2年生だけは分からなかった。


「3年生は、生徒会長さんだとは知ってるけど、2年生は分からないよ」


星宮芹奈ほしみやせりなって知ってるか?」


雪菜は、その名前を知っていた『英雄は学園へ』4巻で主人公、神代を助ける為に初登場した光雪の大切な人、想い人であったからだ。

雪菜はそれが信じられず、光雪に聞く。


「本物の芹奈さんが、学園に居るの!?」


「あぁ居るよ、彼女も俺と同じで、ラノベ最終巻を読み、思い出したらしいよ」


そこで雪菜は思った、家の前で泣いていたのは悲しかったからでは無く、芹奈さんに再会出来た喜びの涙だと、だがその考えは光雪の続けた言葉により裏切られる事になる。


「それから放課後になり、彼女と話したよ、彼女も俺の事を大切な人って、認めてくれてたよ、だけどね彼女は自分の気持ちが分からなくなっていたよ、私は物語の奴隷として、光雪に好意を寄せてたのでは無いのか?その時、俺は自分の気持ちを、彼女への好意を疑ってしまって、何も言えなかったよ」


雪菜は光雪の話を聞き絶句していた、それはそうだろう、自分達が登場するラノベや漫画を読み、自分達は物語の奴隷として生きていたんだと知ったのだから、彼女への好意を疑いたくなるよね、って話しだ。


「それから話し合いは終わり、俺は1人で考えながら帰ったよ、あんまり思考は出来なかったけどね」


と少し笑いながら、光雪は話をしたが、すぐに笑顔を消し、続きを話した。


「だけど俺は、物語の奴隷だとしてもラノベの中で、彼女を好きだった事に変わりないなと思い、悲しくなり泣いたよ、そこに雪菜が来たって流れだね」


そこで、雪菜は光雪が泣いていた本当の理由が分かった、そしていくつかの疑問も、浮かんだので聞いてみる事にした。


「お兄ちゃんは、芹奈さんとはどうなりたいの?」


「え、どうなりたいか?」


「そうだよ、付き合いたいの?それとも、このまま殆ど、関わりなく終わるの?」


雪菜に聞かれ光雪は思考する、今は分からないが、ラノベの時はちゃんと好きだったと言えるから出来れば・・・。


「友達・・・になりたいと思ってるよ」


「それが聞けて良かったよ、私できる限り手伝うからね」


光雪は、良い妹を持てたと思っていたのだが、雪菜は・・・

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学園ファンタジーから転生した主人公の親友ポジ スパーク→雪白紅音 @sy53412

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