第26話
「気持ちいい、気持ちいよ、悟君。悟君も気持ちいいよね。ね、気持ちいいでしょ?」
「........うぅ、あ、........あっ」
首を絞められ彼女が僕の上で腰を振っていた。段々と酸素が薄くなっていく。どうしてこうなってしまったのかも今となっては記憶が薄くてあまり思い出せない。
息が止まりそうな中、僕はこう考えてしまっていた。こんな終わり方でもいいのかな.......助けた人によって殺される。なんていうのも彼女のためになるんじゃないかなんて思ってしまうのだから僕はどうしようもない屑だなと乾いた笑みを苦しみながらも浮かべてしまう。
分かっている。自分が屑だってことも、このままじゃ彼女のためになんてならないということも。これはただ僕が逃げたいだけだということも分かっている。
苦しみと気持ちよさの狭間でそんなことを考えながら僕の意識は遠のいていった。
目が覚めた。鏡花の家でもないし........と色々と考えていたところで部屋の隅で蹲って泣いている美嘉の事を見つけたことで意識は覚醒した。僕はそういえば彼女に首を絞められながらシたことによって意識を失ってしまったようだ。
そもそもの話なぜあんなことになってしまったのかというと部屋に入り彼女に話しかけると信じられないものを見た顔をしてから貪るように彼女は僕に襲い掛かりあんな状態になってしまった。
「美嘉、おはよう」
「………ごめんなさい」
彼女が本当にか細い声でそんなことを言った。僕が謝るべきなのに彼女に謝らせてしまった。彼女が謝るべきことなんて何もないはずなのに。
彼女へと近づき泣いている彼女の涙をそっと拭い、近づいてきた彼女のことをそっとだきしめる。
「美嘉、毎日夢を見ていたの」
「夢?」
「うん。幸せな夢。悟君が美嘉の事を毎日愛してくれるそんな甘くて幸せな夢」
「そう、なんだ」
「でもね、いっつも目が覚めると悟君はいなかったんだ。それで美嘉、おかしくなっちゃって。悟君が死んじゃったのが信じられなくてまた幸せな夢を見たくて寝るの。でもいつになっても悟君が来ないから、もうどうでもよくなって死んじゃおっかななんて考えてたらね」
「」
「来てくれたの。悟君が。やっぱり悟君は美嘉の王子様だったの。美嘉が本当に辛くなって死にそうになったらいっつも私を助けてくれるの」
恍惚とした笑みを浮かべてこちらをじっと見つめてくる。その瞳は勘違いでなければ何処か僕を神聖視しているように思えてしまう。
「ね、悟君。教えて。悟君が今まで何をしていたのか。どうして死んじゃったなんて嘘ついてたのか」
「それは…」
美嘉の状態を考えると、彼女に鏡花のことを教えてしまうと良くないのではないかと思ったが…
「教えて」
有無を言わさない彼女の雰囲気に飲まれ、僕は彼女に一部を伏せて吐露した。
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