かめのこごろう外伝「三人の娘ども」
詰沢脇市
昔々
昔々あるところに小さい家があって、そこにおとうさんと娘さん三人が住んでいた。
お母さんはざんねんながら早く亡くなっていた。それでも娘さんらはスクスク育ったのだった。おとうさんがんばった。
ある日おとうさんはいつものように街に仕事へ行くのだが本日はなんと給料日。手渡し。なので娘たちにお土産を買ってきてやると、なんでも欲しいものを言ってごらんとそれぞれに訊ねたのだった。
いちばん上の娘は妹思いのやさしいこで「妹たちのために可愛らしいドレスをお願いします」とたのんだ。
にばんめの娘はこれまた姉、妹思いのやさしいこで「おねえさま、いもうとの為に。。おねえさまには素敵なドレス、いもうとには可愛いドレスをお願いします」
とたのんだ。
いちばん下の娘は。。これまたやさしいこなのではあるのだけれど、空気を読めないところがあったりして
「あたしにはブタ一頭をお願いいたしまする!」
とたのんだ。
姉二人はそんな妹をみて優しくにこにこ微笑んでいるのでした。
さておとうさんはしごとも終えて給料も滞りなく全額頂きホクホクで、まずは一杯そこらの居酒屋でひっかけ、つまみは焼ししゃも。あんまり飲み過ぎないように。いい気分になってから服屋に行き三着分購入したのだった。姉妹から預かっていたサイズ表も忘れなかった。
黒のシックでスマートなカッコいいドレスと白で可憐さも感じられる可愛いドレス、そしてピンキーな派手カワなドレスとおとうさんの趣味も入れ込んだチョイスであった。
服屋を出てから町外れの養豚場へ行きブタの品定めを30分程度。漸く決まった健康で肌に張りがあり元気な、しかもその目がどこか優しさを感じるブタを選択。
しかし、いろいろ検疫とか注射とかあって直ぐには引き取れないとのことだった。
おとうさんは家に帰り、娘三人にめいめいドレスを渡して着てもらったのだった。みんなニコニコキャッキャと楽しそうである。
一番上の娘は黒のドレス。カッコいい!
二番の娘は白のドレス。美しい!
一番下の娘はピンキー!決まった!
みんなめちゃめちゃ喜んでいる。。
が。。一番下の娘は、たのんだブタが直ぐこないということがわかったので少しぶーぶー膨れっ面。姉たちはそれを見て「だいじょうぶよ、もうすぐしたらやってくるからね」と頭をナデナデしてあげたのだった。おとうさんも「すまんかったのぅ~ごめんのぅ~」と頭をナデナデ。すると一番下の娘は嬉しくなって「まあブタもいいけど、ナデナデしてくれるのがいちばんうれしいけどね」ってポロリ。
それを聞いてみんなひと安心。にこにこ。ほんわかした気持ちになりました。
数日後無事ブタも届けられ、いちばん下の娘ちゃんは毎日そのブタに乗って牧場を駆け回る毎日です。ちなみにその牧場は隣の家です。ご近所仲良しです。
もちろんドレスはここぞの時なので今はラフにTシャツとデニムパンツです。
やんちゃ盛りです。
今日もよい日でした。
おしまい
かめのこごろう外伝「三人の娘ども」 詰沢脇市 @flowershit
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