悪役貴族の元魔王〜ゲーマー魔王が悪役貴族に転生したので、片手間に死亡フラグバキバキにしながら推し活に励む〜
あおぞら@書籍9月3日発売
第1章 魔王から悪役貴族に
第1話 元魔王、悪役貴族転生する
とある荘厳で豪華絢爛を具現化した様な一室で目を覚ました我は言葉を吐いた。
「———ふむ。全く訳が分からぬ」
「アイン様……?」
我は確か、日本から新たなゲームを召喚する為に魔法を行使していたはず。
しかし、蓋を開けて見れば何故か全く知らない場所に転移しており、我の身体は人間に変化していた。
このことから考えられるのは1つ。
———我が、魔法の発動に失敗したのだ。
魔族随一の天才であり、世界を恐怖と絶望に震撼させた歴代最強の魔王である———この我……ディアボルドが、だ。
「我が魔法に失敗するだと……? そんなこと神に誓ってもあり得ぬ」
「もしもーし。アイン様、聞こえていますか?」
「きっと何か特別なことがあったはず……」
「あ、ダメですねこれは」
何か雑音がするが、今はそんなことに時間を割いている余裕はないのだ。
あと少しで何かを思い出せ———
「む……思い出したぞ」
普通にであれば我が魔法を失敗する事など絶対に有り得ないが、そう言えば魔法の行使中に勇者に攻撃されて魔法が暴走したのだった。
今回の勇者も大した事は無かった……寧ろ我の魔法の暴走の方が怖かったまである。
「む……其方は……レティアか?」
「はいレティアです。アイン様、一体その無駄に尊大な口調はどうしたと言うのですか?」
我と恐らく主従関係であると言うのに、生意気な口をきく金髪碧眼のメイド。
勿論我の世界の者ではないが、メイドの少女は知っていた。
そして我は確信を得るために指を鳴らして魔法を発動させようとして……うんともすんとも発動しない。
「ふむ……これがゲームでもありがちな転生か。そして……我が転生したのは『勇者の軌跡』の悪役貴族のアインであるな」
「本当に何を言っているのですか? 頭打ってイかれました?」
「む、失敬な。我の前世の名は———ディアボルド。元魔王であるぞ」
「…………アイン様、それは厨二病というやつですか? 妄想なんですよね?」
可哀想な目で我を見るレティア。
このメイドからは1ミリたりとも我への敬意が感じられぬが……それも致し方ない。
この身体の持ち主———アインは、典型的な屑の悪役貴族であり、それを両親も容認していると言う典型的な屑家族だからだ。
しかもゲームでは、何かと我が操作する主人公の邪魔をしてくるお邪魔キャラ。
そのくせ権力頼みで才能も実力も皆無。
我がゲームをプレイ中に、思わず《第10階梯炎魔法:スーパーノヴァ》を発動させそうになって部下達を騒がせてしまったのは苦い思い出である。
しかし、ゲーム中は有り難く、今では面倒な事に———アインは死亡フラグが多い。
我も何度もアインを殺しており、他にも何度も別の敵キャラやちょっかいを掛けたヒロインに殺されている。
あり過ぎて、どこに死亡フラグが有るのか不明な程だ。
更にタチの悪いことに、才能も無く、魔力も貧弱なため強くもなれない。
だが———
「我ならば———その全てを補える」
死亡フラグなど、所詮雑魚アインにとっての話であり、魔王の我にかかれば1本の指で何とでも出来る。
それに、我は魔力の無い者にも魔法を使用させる方法を編み出した事もある天才。
この世界の魔力は我の世界の魔力と同質であるため———万が一にも我が死亡フラグで死ぬことなど絶対あり得ぬ。
「ふっ……それに今の我は魔王ではない……つまり面倒な責務もない……」
そう考えると、逆に転生してよかったと笑みが溢れてしまうと言うもの。
更にこのゲームには、我の推し———全ゲームの中で1番好きなキャラ———が居る。
「ククッ……完璧であるぞ……この機会に———我は推しを間近で眺めながら自由に暮らすのだ!」
そのためにはまず———
「おい、レティアよ」
「何でしょうか、厨二病アイン様」
相変わらずの舐めた態度のレティアに笑みを浮かべて告げる。
「———1週間、誰にも我の部屋に近付かせるでない。飯も水も要らぬ。お主も近寄るな」
我の言葉を聞いたレティアは———
「…………はい?」
呆けた様な表情で目をしばたたかせながら言葉を溢した。
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どうも、あおぞらです。
これより一風変わった(自論)悪役貴族転生物語の開幕です。
今作は『死亡フラグ? 破壊すればよくね?』系の主人公が推し活しながら大暴れする物語です。
是非とも☆☆☆とフォローよろしくお願いします!!
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