きみに出会った日(つかさ探偵事務所)
つなびぃ
前日譚─つかさ視点─
──ここは原宿の竹下通りから少し離れた住宅街にある
これは、
『つかさ探偵事務所』に変わる前の物語である。
(依頼人に渡す調査報告書を作らないと……。それにしても最近は目も当てられない調査結果が多いな。はあ、浮気する奴らの神経が分からない。いや、分かってたまるものか! )
普段の温厚で優しい性格からは想像もつかない程の鋭い目つきでパソコン画面を睨み付ける彼女の名は、
明るい緑の瞳に、栗色で横髪が顎まで短く、長い胸下までの後ろ髪を1つに縛り前に垂らしている。濃い灰色のスーツに、今は亡き父からもらった大切な黒に緑の横線が18本あるネクタイを身につけて、パソコンのタイプ音を事務所内に響かせながら仕事に励んでいる。彼女は男性のような格好が好みなので、スーツにネクタイ、黒色の足首までの靴下に茶色の革靴といった服装を仕事の時は常に着用している。
──神図探偵事務所。
それは、彼女が心から愛している父親が設立した事務所。
父親は、つかさが22歳の頃に突然この世を去った。
現在は、つかさが事業主として受け継いでいる。
(よし、作成終わった……。ああ、もうこんな時間か。さあ、早く寝るとするか)
気がつけば時刻は深夜1時。彼女は事務所の扉に鍵を閉め、反対側の扉の先にあるリビングに足を運ぶ。
実は事務所の入口の向かい側に彼女の自宅がある。つまり、事務所兼自宅という変わった構造の2階立ての雑居ビルで生活している。
「今日は疲れたな。昨日は何をしたらいいか分からない程暇だったのに」
自宅に帰ると、彼女は大きめな白い長袖のTシャツに黒いルームパンツに着替えて、小さく
夕飯は冷たい紅茶とコンビニで買った常温のミートスパゲッティ。
つかさは猫舌であり、熱いものが苦手なため、常温か冷めたものしか口にしない。
「いただきます」
食べる音だけが部屋に鳴り響く。
食事を終えると、2階に行く。すぐ先の浴室に入り湯船に浸かった後、寝室に向かい、倒れ込むようにして眠りにつく。
前編へつづく
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