銃で戦うダンジョン探索
トロロ将軍
念願のスキルGet!
「いってらっしゃい。初めてのダンジョンなんだから係員の言うことをしっかり聞くのよ。」
「わかってるよ母さん。じゃあ、いってきます。」
母の心配そうな声を背に自宅の玄関を出る。今日は待ちに待ったダンジョン探索の日だ。もっとも今日に関しては職員に先導されてスキル獲得の為にモンスターを一匹倒すだけなのだが。
【ダンジョン】
今から50年ほど前突如世界中に現れた存在。中にはモンスターと呼ばれる怪物が蠢き、侵入者に襲い掛かる危険な場所だが、モンスターを倒した時に落す魔石は新たなエネルギーとして今や無くてはならない存在となっている。
世界各国は魔石確保の為に民間人のダンジョン侵入を許可。15歳以上の希望する者に【探索者】という名称とライセンスを与え魔石確保に協力してもらっている。
「俺も今月から高校生だし、やっと探索者になれるぜ!」
俺は待ちに待ったダンジョンに思いを馳せながら急ぎ足でバス停まで向かって行った。
バスに揺られること30分。ようやく目的地の【士別ダンジョン】に到着した。俺の住んでる市にはダンジョンがないのでこの士別ダンジョンが最寄りのダンジョンになる。
暖房の効いていたバスを降りると冷たい風が俺の身体を撫でる。内地ではもう花見の季節なんだろうが、北海道ではまだまだ冬だな。
ブルリと身体を震わせると暖かい場所を求めて士別ダンジョンの管理棟に入る。
管理棟内はお世辞にも賑わっているとは言えないが、大人数がざわざわと騒がしいのよりは良い。
俺は自販機でホットココアを買うと時間まで設置されているベンチでスマホを弄って時間を潰すことにした。
・・・・・
「11時から開始されるスキル取得ツアーに参加の方はダンジョン入口までお集まりください。」
ダンジョン職員の呼び掛けに俺は顔を上げる。どうやら集合時間のようだ。
俺はベンチから立ち上がるとダンジョン入口に向かう。
周りには俺と同じようにダンジョン入口に向かう人が数名見られる。恐らく俺と同じツアー参加者だろう。
「はい。今回スキル取得ツアーに参加される8名の皆さまですね。今回皆様にはスライムを倒して頂きます。危険はないように致しますが、皆様もしっかりと職員の指示を守るようお願い致します。それでは行きましょう。」
そう言って職員はダンジョン内に入っていく。随分あっさりしてるなぁと思いつつ俺達も職員の後に続きダンジョン内へ入って行った。
そうしてダンジョンに入って数分、目的のスライムと遭遇した俺達は職員から武器を渡され順番にスライムを倒していく。初めてモンスターを倒した人はスキルを手に入れることができ、身体能力も上昇する。なので各ダンジョンでは月に数回こうやってスキル取得ツアーというものを開催し、探索者になりたい人達のスキル取得を支援している。俺の前にスライムを倒した30代くらいの男性はガッツポーズをしながら職員に武器を返している。脱サラ組ってやつかな?
そうしてとうとう俺の番が回ってきた。職員から剣を受け取りスライムの前に立つ。青いバスケットボール大のプルプルした物体が俺の前にいる。スライムは特に強い訳ではなく、その気になったら小学生でも倒すことができるらしい。ただし、身体の中にある核を壊す必要がある為、不器用な人には若干嫌われているモンスターでもある。
「よーし・・・オラッ!」
スライムへ向けて上段から剣を振り下ろす。核を壊されたスライムは霧になって消えていき、その場に小指の爪程度の光る小石が落ちている。これが魔石だ。スライムの魔石は1つ30円で取引されている。弱いモンスターだから金額が安いが、これがもっと強いモンスターなら魔石の取引額も高くなってくる。札幌ダンジョンにいるストーンゴーレムの魔石は1つ8000円らしいし、それよりも上の金額の魔石も当然存在する。
そんなことを考えていると俺の身体が熱くなってく。不快な熱さではなく、何かが湧き上がってくるようなそんな熱さだ。どうやら俺もスキルを手に入れたらしい。
はやる気持ちを抑えて自分に芽生えたスキルを確認する。やはり剣で倒したから前衛系のスキルだろうか?それとも魔法系のスキルか?・・・ドキドキするぜ!
しかし俺に芽生えたスキルは想像とは全く違っていた。
「ガン・・・スミス?」
目の前にあるステータスウインドウには【ガンスミスLv1】と書かれていたのだった。
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【斎藤一さいとうはじめ】
本作の主人公。両親が幕末好きなので一と名付けられたが、当の本人はミリオタに育ってしまった。探索者になってお金を稼ぎ、将来のんびり趣味に生きたいと考えている。北海道の名寄市に住んでいる。
【ダンジョン】
50年前に世界中に現れた存在。日本にも数多くのダンジョンがあり、日夜探索者が魔石収集に励んでいる。
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