底辺配信者の俺はRPGの最弱魔王に転生してしまった……

@hashi__yuu

プロローグ

プロローグ

「ジャック様!! 生きてください!!」


「ジャック様……どうしてこんなところで……!」


「はぁ!? 何この雑魚魔王。くっそおもんねぇ〜。中ボスの魔人が強すぎてこっち話にならねぇわ〜」


 俺は25歳、職業配信者。職業と言いつつも先月の給料は2万。大学生のバイト代にも満たない。


 いわゆる底辺配信者だ。はっきりいって今、俺はクソだ。


 高2の時、彼女を寝取られてから、俺の人生は壊れた。


 そして今、人生壊れた俺はこれにかけている。


 そう。それは、発売前から話題沸騰の新RPG、【デビルクエスト】の最速クリア配信だ。


 今日はデビルクエストの配信日。ありがたいことに、土曜日の正午からということもあり、視聴者がかなり集められそうだった。


 このデビルクエストはゲーム内でも、【配信】という機能があるらしく、話題を呼んでいた。


 配信を上手く使ってレベルアップをしていくらしい。


 ここでファンを、登録者をゲットしなきゃ……!


「は? 2人目の魔王強すぎじゃね? おもんねぇ〜。無条件キルとかやりすぎだろ!」


 俺は盛大に台パンした。


 そう、俺はキレ芸で少しウケたのだ。始めたてに少し迷走し、キレ芸がバズった。そこから俺はキレ芸から逃れられなくなっていた。


 本当は純粋にゲームを楽しみたかったのに……


 まぁ、背に腹はかえられぬ。今は稼がなきゃなんだ。やっと、ニートから脱却できるんだ。


 そして、配信から約15時間後。


「やっと3人目の魔王勝てたわ。強すぎておもんねぇから一旦配信切りま〜す。あと魔王2人は起きたらやるわ〜」


 15時間の配信で、元々1万人程だった登録者は約1000人増え、発売前から話題のゲームなだけあって同接も最高8000人まで伸びた。


 あるぞ……あるぞ! 夢の配信者生活が!


 ……腹減ったな。


 俺は夜中の3時、のそのそと部屋を出て、暗いリビングを抜け玄関まで行き、コンビニへと向かった。

 片道約3分。近道の暗い細道を通り、俺はスマホをいじりながら歩いていた。その時だった。


 ピロン


 母からのメッセージが届いた。

 こんな夜中になんだ? てかまだ起きてたのか。


 そのメッセージに既読をつけた。


「仕事を見つけるまで家に入れません」


 ……は? 待て待て。待て待て待て! 言ってる事おかしくない!?


 ……まじかよ。終わった……

 せっかく役作りして無理してまでファンを増やしたのに……これからだって言うのに!


 母親にどうにか説得しようと長文を打つ。カタカタと音のなるスマホ。


 そして、俺は後ろから迫り来るバイクに気が付いていなかった。


「土曜は酔っ払い多くて助かるわぁ!」


「……おい! 前見ろ前!!!」


「……ん?」


 ゴンっ!!!


 ……え?


「に、逃げろ!!」


 痛い。痛い痛い痛い。腰が痛い。頭が痛い。


 俺はひったくり犯のバイクに衝突され、地面に頭を強く打ってしまった。


 まだ……死にたくない……これからだって言うのに……まだ……!


 その瞬間、目の前は真っ暗になり、俺は死んだ。






 なんだ……ここ。


 死んだはずの俺なのだが、真っ白い世界で意識だけがある。


「……様」


 ……? なにか聞こえる。


「ジャック様」


 ……? ジャック様? ジャックって確か……


「はっ!」


「ジャック様、どうかなされましたか」


 何故か目を覚ましてしまった俺の前にはメイドが2人立っていた。そしてまた、俺も立っている。


 パッ、と振り向くとそこには鏡があった。


「おい……まじかよ……!」


「なにがまじかよなんですか!!??」


 端麗で静かなメイドと、陽気で可愛げのあるメイド。この2人はあの時泣いていた……!


 今の俺の顔。見覚えしかない。


 俺はさっきまで配信していたゲーム、デビルクエストの最初の魔王。ネット上ではこう言われている。


 ーデビクエの調整ミスー


 そう。俺の顔は、五大魔王の中の最弱の魔王、サイ・ジャックであった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あとがき

 この度、新作の投稿です!

 少しでも気になったり、面白いなと思ったりしてくださったら、作品のフォローやレビュー、感想、ハートをよろしくお願いします!


 今日はもう1話投稿予定です!


 また、僕の他の作品も良かったら🙏

 最後まで読んで頂き、ありがとうございます!!

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