後悔の四方山 (短文詩作)

春嵐

第1話

 後悔している、というわけではない。別の道もあったかもしれない。ときどきそう思うだけ。


 この区域の、やさぐれているやつらの頭目をしている。元々が優しいひとの多い土地なので、ぐれるといってもそんなに荒事にはならない。というか、荒事にはしていない。それでも、町の雰囲気にいつまでも馴染めないやつらは、そこそこ存在する。そういうやつらの、長。


 やさぐれるやつらは、女のほうが少し多い。性根の優しい町なので、男どもはどこかでやさぐれに踏み切れず、消滅していってるのではないかと思う。女のわたしでさえ、男の物腰柔らかな感じは伝わってくる。


 警邏のやつらを除いては、だけど。


 また、うちの者と警邏のやつらがぶつかったらしい。ゲーセンの、対戦射撃ゲームのところで。


「仕方ない。行くか」


 この町には、娯楽がゲーセンの対戦射撃ゲームぐらいしかない。

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