第6話 万夫不当

 一八九年春、雪が溶けて疎らに草木が見える頃、関羽が呂布に一騎打ちで敗北してから約五年の月日が経ち、并州の西にある異民族の土地に滞在し、鄧艾や異民族、羅馬の知識を模倣して富国強兵政策を行っていたが、三万人の軍勢に増えたが圧倒的に糧食、武器等の軍需物資が不足して兵達の不満による諍いが徐々に起きていた。


 そんな中、新たに配下になった武将が二人。


 一つは斬込み、突撃、騎射を得意とする異民族の部隊、朱雀党の長の龐徳ほうとく


 龐徳は二十代前半、全身傷だらけで日焼けによる黒い肌の熊の様な巨体を誇る武将であり、関羽の活躍を聞いて配下になっていた。


 そして今回は、もう一人の武将で新たな部隊、暗殺、諜報、破壊工作を得意とする玄武げんぶ党の長である烏桓の若き女族長兼関羽直属情婦、狼の毛皮を纏い、小振りな胸と尻で、飼犬の様に愛嬌があり、弓矢の達人の狼楼華ろうろうかからの報告があった。


「関羽様。今、中華では董卓とうたくと敵対する連合軍との戦いが行なわれています。そして并州は董卓の配下になった呂布が支配していましたが撤退した模様です。ですが、代わりに黒山賊こくざんぞくという約十万人の黄巾賊残党が支配しております」



「ならば、黒山賊を討伐して并州を奪還するとしよう。全兵力に伝達して侵攻する」


「御意!」



 こうして、約二時間位には侵攻準備が整った。


「まずは万里の長城を越え、例の大旗を掲げよ」


 







 やがて、見張りも居らず、修復も十分ではない万里の長城を関羽軍が越えて行き、黒山賊の本拠地、并州城に向かう最中に大旗を掲げた。


 その大旗には「万夫不当、并州牧、関羽参上!」と書かれていた。



 并州城に居る黒山賊達は関羽達を侮った。


 まず、兵力差が三倍以上も上回っており、并州には関羽の敗北した戦いの噂に尾ひれがついて悪評になっていた。


「呂布に一撃で負けた関羽だとよ」


「糞尿を漏らしたらしい」


「女子の様な声で命乞いしただと」



 歴史は敗者には有りもしない事実に塗り変る。


 つまり、勝ち続ければ、歴史は思うように塗り変えれる。


 



 関羽は羅馬から来た軍馬の中に中華一の名馬、赤兎馬せきとばに匹敵する黒い巨大な愛馬、乱龍らんりゅうに騎乗して、青龍偃月刀を両手に振り回しながら并州城へ一人で突進した。


 すると、万にも匹敵する矢が関羽に向かって放たれるが、風車のように青龍偃月刀を操り弾き飛ばした。


 やがて、黒山賊全軍が関羽一人に襲いかかるが、阿修羅あしゅらの様な戦いで敵の身体を一振りで三人から五人を両断していき、約一万人程殺戮して万にも匹敵する武勇、万夫不当の関羽と、これから中華中に恐れられる序章が本当の意味で始まる。



 恐れを抱いた黒山賊は撤退を開始し始めだが、時既に遅く、関羽軍に包囲され、朱雀党による騎射に弓矢の攻撃を受け、混乱している時に青龍党、白虎党に突撃され、命乞いをして生き残った黒山賊約二万人を関羽軍に吸収して残りは討ち取った。





 関羽達は并州城に入城して宴を開き、勝利を分かち合い、その後、関羽は羅馬人の玲亜れいあのスイカの様な胸を揉みし抱きながら狼楼華を抱き、二人を腰が抜けるまで抱いた。


 


 翌朝、貧しい并州では約五万人の軍勢を養うのは困難故、糧食、武器等の軍需物資を補給を急がせ、鄧艾が来世で豊かにした土地に向かう事にする。



 

 







 

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