罪の所在

 茂はミニバンを走らせていた。この車に置いてあった制服を処分しようと、とにかく車を走らせていた。しかし、もし捨てた先で見つかってしまったら自分に辿り着いてしまうかもしれない。そう考えるとやっぱり部屋にでも隠しておくのが安全なのではないか? その結論にたどり着いた。


 茂はスマホを確認する。ジュンゴは彼女と遊んでいるらしく、トモヤは趣味の釣りをしているらしい。自分がこんなにもピンチだというのによくも楽しんでいるなと、茂は二人が憎かった。捕まるかもしれないと思うと、どうしてあんなことをしたのかという後悔がやってきた。


 もういっそ自首をしたかったが、そうなるとあの二人に何をされるか分かったものではない。


 ただ車を走らせているだけなのに、周りの人間たちが自分のことを見ている気がした。茂は気が気ではなかった。しばらくは自室に閉じこもったほうがいい。あの二人とも会わないほうがいいかもしれない。


 制服の処分を諦め、茂は自宅へと戻った。部屋に入った途端、すぐに違和感に気付いた。


 ーービデオカメラがない。机の上に置いておいたカメラが無くなっていた。茂は家族を疑ったが、父も母も仕事で帰ってくるはずがない。その時、メモのようなものが置いてあることに気がついた。


『お前らの犯した犯罪のことで聞きたいことがある。21時にお前たちが罪を犯した山で待つ。警察に駆け込めば、同時にお前たちの罪は明るみになるだろう』


 メモを読んだ後、茂は恐怖で震えた。自分たちのレイプが何者かに気付かれていることに。読んだところ警察ではない。一体誰なのか茂には全く予想もつかなかった。


 更に自分の留守の間に自宅に何者かが侵入したということだ。茂は改めて身内を疑った。しかし、ならばこんなにも回りくどいことをする必要がない。結果、このメモの通りにする以外に茂の選択肢は存在しなかった。



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