異世界から帰還した勇者のせいで死んだんですけど
帰宅部エース
第0話 勇者帰還
「邪神ウルア、やっと追い詰めたぞ。お前は数多くの人間の憎悪をくらい世界を混沌へと導いた。それも今日で終りにする」
「ウォォォ、我が貴様に負けるそんなことがあってはならない。我はまだすべきことがある。ここで終わるわけには行かぬ」
両者の激しい戦闘が続き、どちらも体力も魔力も枯渇し初めたとき、勇者が地面に大きな魔法陣を展開した。魔法陣がたちまちに白い光を放ちだした。
邪神ウルアは本能的にやばいと思い勇者に向けて、無意識的に魔法を放った。
だが、勇者はチートスキル《魔法無効化》を使い、邪神の攻撃を難なくといなした。
《魔法無効化》は手で触れた部分の魔法を破壊するスキル。このスキルは魔法に対して自動で発動している。
勇者は自分の魔力をすべてを使い発動した魔法は、
「class6魔法 因果断絶」
その魔法は一瞬にして光で周囲を覆い邪神の体が崩壊し始めた。
ウルアは事前に自分の体に刻んでいた、魔法陣に魔力を注ぎ自分の魂と肉体を強引に引き離した。ウルアは魂だけの存在となり、戦線を密かに離脱した。
勇者は、体内の魔力を使い果たし、倒れ込んだ。
そして勇者が目覚めたときには、何も無い無の空間のようなところにいた。そこには、私と白髪の女性がいた。その女性は私が目を覚ましたことに気づき、
「目覚めたのですね!世界を救いし勇者様。あなたには本当に感謝しています」
感謝を言われてたが、見知らぬ場所、知らない女性がいるこんな状況で心から喜べるわけもなく。この状況はたぶん誘拐されてここに監禁されている。彼女は恐怖のあまり僕を勇者と呼んだのだろう。
僕は彼女を安心させるために
「私とあなたは誘拐されてここにいるのですよね?
大丈夫ですよ、私がいるからには」
彼女が私の話を遮るように
「いいえ、違います。私があなたをここに連れてきたのです」
「どういうこと、あなたが誘拐犯?」
「何を言っているのですか
私は君が転生してして邪神を倒してくれた世界の神。あの世界の創造神。
そしてここは私の部屋のようなもの。
私は創造神なのであらゆる物を創造できる。それが、君の持っている聖剣であっても。」
女神がそう言い放った後に、女神の手には僕の持っていた聖剣と全く同じものがあった。
聖剣は世界に1つしかない聖なるもの。神さまが持っている聖剣からは強力な力を感じる。これは間違いなく、僕が邪神を倒したものと同じ聖剣。
今、目の前にいるのは本当の女神さま。僕は女神さまを誘拐犯扱いしていたのか。もしかしたら、無礼な行いをしたから殺されてしまうかもしれない。僕は女神さまに謝ろうとしたら、
「私はあなたの無礼を許します。私があなたをここに呼んだのは、世界の創造神としてあなたが世界を救った勇者さまにお礼をしたいと考えたからなのです。だから、あなたの願いをなんでも叶えてあげます」
「僕の願い・・・僕はエルニア王国で異世界に召喚されて来ていました。はじめは、異世界に来たときに得たであろうチートスキルで人々を救って称賛されることに喜びを感じていました。だけど、人々からの称賛を集めすぎたせいか、国から世界的な問題にもなっている邪神を倒せと使命を無理やり与えられ。僕は、人々の期待を裏切るのが怖くなり邪神を倒す決断をした。僕があの世界に戻り邪神を倒したことを報告したところで、また僕に問題を押し付けるようなことが待っている。僕はもう、こんなに他人から縛られて暮らすような世界なら元の世界にいたときがましだ!」
最後まで言い切ったら涙が出てきた。涙を出したら心が少し軽くなった気がする。
そして自分の願いを改めて女神様に言う。
「元の世界に戻りたいです」
「わかりました。あなたの願いしかと受け取りました。元の世界とこの空間をつなげるために少し時間をいただけますか」
女神様は魔法陣を展開を初めた。
「勇者さん、元も世界に戻る準備ができました。この魔法陣の中に入ればあなたは元いた世界のあなたの部屋に戻れます。服装などの細かいところは大丈夫なのでご心配なく、」
「あのー、私を勇者と呼ばないでください。私は自分の力を自分勝手に振るった愚か者なので」
「そんなに自分を罵らないでください。邪神を倒してくれたおかげで世界が少しは良くなったはずです。あなたは勇敢な者、勇者なのですから」
誰にも縛られない元の世界に戻れると思うと嬉しくなり再び涙が出てきた。溢れてきた涙をぬぐい。
魔法陣に向かって歩いていた。涙を流したせいで目が腫れてしまい、前がよく見えなくなっており何もない所でコケてしまった。僕の手は魔法陣に触れてしまい部分ができたが、魔法陣は僕が少中心に行くと起動し始めた。
女神様が私に近づき、肩をポンと触り
「ありがとう」
††††††††††
僕は元いた世界に帰還できた。
帰還できたのは良いのだが、家の中ではなく外である。これは、あのとき魔法陣に触れたことが原因なのだろうか。
そのとき、自販機からお茶が出てきた。このお茶は女神様がくれたものなんだろう。
服装は大丈夫なのだろうか?と確認したが問題なさそうだ。
ズボンのポケットを漁るとスマホと現金10万円がでてきた。
スマホは正常に動き、僕が異世界へ行ってから約5年の月日が過ぎており、ここは母校の近くの公園だとわかった。
「命をかけて世界を救って10万円しか貰えないのかよ」
愚痴を言いながら元も世界に戻れたことが嬉しかった。
実家の近くなので里帰えして、親孝行でもしながら、新しい仕事でも探そうかな。
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